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【朝礼で活きる名言・格言】やる気を引き出して社員を育てる「松下幸之助」の名言・格言

会社を活気ある場にしたい! そうお考えなら、価値観を変えうるような偉人の言葉を社員に向けて伝えてみてはいかがでしょう? 例えば、故・松下幸之助氏の言葉を引用すれば、社員一人一人のやる気を引き出すことができるかもしれません。

経営の神様と讃えられた松下氏は、折に触れて「企業は人なり」と説いていました。つまり、「事業は人を中心として発展していくものであり、その成否は適切な人を得るかどうかにかかっているといってもいいだろう」と語り、「やり方しだい、考え方しだいで、その持てる力をいくらでも引き出し、発揮させることもできる」と言うのです。

松下氏の言葉の根底には、その経営哲学があり、社員の意欲を掻き立てるエッセンスが詰まっています。その言葉を活用すれば社員の成長が促され、事業の発展の一助となることでしょう。

「自分は、会社という一つの社会の中で、社員稼業をしている独立経営体であると考える」

松下幸之助氏は和歌山県和佐村の小地主として生まれましたが、父が米相場に手を染めて失敗。一気に貧乏になり、わずか9歳で大阪の火鉢店、次に自転車店に丁稚奉公することに。そんな中で当時運転が開始された大阪の市電を見て、電気事業に興味を持ち、大阪電灯を経て、自分の事業を作り出したのです。

そんな生い立ちが原体験となり、松下氏の思想にも色濃く反映されます。松下氏は勤め人としても意欲的だったため、社員に対して「社員稼業」という考え方を提言しました。つまり、自身を「企業という一つの社会の中で稼業を行う経営者」と捉えてみてはどうかと問いかけました。

自分が主役、自分の稼業だと思えば、仕事を与えられるだけでなく、自ら創意工夫を行うはず。自分の稼業が繁栄すれば尊厳や楽しさを感じられ、苦しさや辛さと無縁になるのではないかと言ったのです。

実際、松下氏は社員一人ひとりがプロとして仕事に取り組む「自己責任経営」を心掛け、会社を成長させました。この言葉を「企業を良くする仲間として協力して欲しい」という熱意を込めて、投げかけてみてください。きっと社員も奮い立ち、事業の発展に繋がります。

朝礼で伝えたいポイント:社員一人ひとりが「社員稼業」の主人公である

・仕事を自分事化して、仕事に誇りを持つ
・自分の稼業を発展させるため、創意工夫する
・上司や同僚、部下も自分の稼業を発展させる仲間である

朝礼での活用例

おはようございます。

みなさんの中には、将来的に独立して起業したいと思っている方はいらっしゃるかもしれません。しかし、みなさんは既に独立されていると言ったら驚かれるでしょうか?

松下電器、現パナソニックを創業した松下幸之助さんは生前、著書にて次のように言いました。

「自分は、会社という一つの社会の中で、社員稼業をしている独立経営体であると考える」

経営の神様として知られる松下さんですが、彼は9歳から働き、非常に優秀な勤め人でもありました。23歳で独立してからは苦労を重ねて、日本史に名を残す経営者となったのです。

仕事の酸いも甘いも噛み分けてきたからこそ、社員の心得として「自分がプロである自覚を持つこと」を唱えたのです。自分が主役だと考えたら仕事も楽しくなり、プロとして誇りを持てるようになると説いたのです。

今みなさんがされている仕事は、みなさん自身の稼業。そう考えると、私たちは会社という“小さな社会”の中で働いている経営者同士、パートナーといえます。私を含め全員で、共に生きる社会を良くするため、精魂を込めて働いていきましょう。

「自己認識というものができたならば、決してその人は失敗しない」

松下氏は「適材適所の経営」を心掛けていました。その人の持ち味を生かすことで、能力が発揮されて成果が生まれる。それだけでなく、自分の適性を知ることが相手の個性を認めることにも繋がり、より良い組織や環境を作り出すと考えていたのです。

著書や演説でも頻繁に適材適所について触れ、仕事において「自己認識ということが、個人が世の中に立っていく上で、いちばん大事なことだと思う」とも話していました。

さらに「自分が是と思えることには命を張っていく」ことができ、「それが自分の適性ならば、生きがいを感じることになろうと思います。そこから、その仕事にだれよりもすぐれたものが生まれてくると思うのです」と続けています。

つまり、経営者として社員の適正に合った仕事を与えるだけでは不十分。社員一人ひとりに自身の適正と向き合うよう促すことが大切なのです。その機会を朝礼に盛り込めば、松下氏のように、優れた社員を育成することができるでしょう。

朝礼で伝えたいポイント:自分らしく働くことが成功に繋がる

・自分の適性を見出し、活かすことが重要
・適性を感じる仕事なら、生きがいを感じられる
・イキイキと働くことが、社員自身の成長を促す

朝礼での活用例

突然ですが、みなさんは私が経営者に向いていると思いますか?(周囲を見渡す)

……はい、非常に答えづらい質問でしたね(笑)。しかし、これは私が常に自分自身に投げかけている問いなのです。

私が尊敬する松下幸之助さんは「適材適所の経営」を掲げ、仕事においては「自己認識というものができたならば、決してその人は失敗しない」と語っていました。自分に合った仕事であれば生きがいを感じ、素晴らしい成果も残せると考えていたのです。

私は、経営者として至らない点もあると思っています。しかし、仕事に生きがいを感じ続けている限りは、経営者として成長できると信じています。

みなさんも、自分の胸に「今の仕事に向いているか?」と問いかけてみてください。ポジティブな感情を少しでも感じたなら、社会人として成長すること間違いありません。ぜひ、仕事をワクワクしながら楽しんでください。

「仕事というものは、やればやるほど味の出てくるものだ」

適正とは生まれ持った性質であると同時に、自らで引き出すことのできるもの。そう、松下氏は自分自身の経験を踏まえて考えていました。

幼い頃から丁稚奉公を辛い日々を送っていた松下氏は、先輩から「石の上にも三年」と聞かされ我慢していました。そうしているうちに「だんだんと仕事の味、仕事の喜びを見出す」と振り返っています。

そこから「最初はつまらないと思えた仕事でも、何年間かこれに取り組んでいるうちに、だんだんと興味が湧いてくる。そしてそれまで自分でも気づかなかった自分の適性というものが開発されてくる。そういうことがよく起こり得ます」と続けました。

社員の適正を広げることは社員の可能性を広げることであり、真の意味での人材開発です。そうでなくても仕事を続けてその喜びを知ってもらうことは会社にとっても有意義なこと。松下氏が成し遂げた偉業と合わせて、この言葉を贈ってみてください。

朝礼で伝えたいポイント:仕事は「石の上にも三年」

・辛くても続けていけば、仕事の楽しさがわかる
・仕事に興味を持てば、自分の適性が開発される
・適性が広がれば、自分の可能性も広がる

朝礼での活用例

今日は私が大切にしている松下幸之助さんの言葉を、皆さんに贈りたいと思います。

「仕事というものは、やればやるほど味の出てくるものだ」

松下さんは火鉢店や自転車店で丁稚奉公をしている頃、「石の上にも三年」と思って仕事を頑張り続けました。そして大成した後に「仕事の醍醐味がわかった」「自分の適性が開発された」と当時を回顧。さらに「ムダなことはなかったと思う」とも著書で語っています。

ご存知のように松下さんは電気事業に乗り出し、テレビやビデオなど家電を主力にパナソニックの礎を築いています。その過程の中、自転車店で奉公した経験から、当時なかった自転車用の電池ランプの開発なども行なっているのです。

仕事を続けていけば興味がわき、仕事も楽しくなる。心持ちが変われば自分の能力や適正が開発され、結果ビジネスマンとして成長できる。そう、松下さん自身が証明しています。

みなさんも、松下さん同様、仕事の味がわかるよう積極的に業務に取り組んでみてください。その前向きさが、ひとり一人の可能性を広げ、社会人としての人生をより“味わい深く”してくれると思います。

合わせて「素直な心」の大切さを伝えるのも効果的

松下幸之助氏は様々な名言・格言や逸話を残していますが、とりわけ「素直な心」についてよく話していました。
氏が言う素直さとは、大人しさや従順さでなく「知識や先入観に取らわれることなく、ありのまま物事を見ようとする心構え」のこと。素直さが正しい判断と行動、そして柔軟な姿勢を生むと考えていたのです。

松下氏の言葉を伝えるのではあれば「素直な心で聞いて欲しい」と、その大切さを添えてみるのも良いでしょう。より説得力が増し、社員の心に深く響くかもしれません。

文=オンデック情報局

松下幸之助(まつしたこうのすけ) 1894-1989
享年94歳。パナソニックグループの創業者。火鉢店や自転車店に丁稚奉公した後、大阪電灯(現関西電力)に勤め、1918年に松下電気器具製作所を創立。多種多様な電化製品を販売し、事業を成長させた。その後、PHP研究所や、21世紀を担う指導者の育成を目的とした「松下政経塾」を創設して、日本経済に大きな影響を与えた。

参考図書
・松下幸之助「[新装版]社員稼業 仕事のコツ・人生の味」(PHP研究所)
・松下幸之助「社員心得帖」(PHP研究所)
・松下 幸之助「松下幸之助が直接語りかける 仕事で大切なこと」(PHP研究所)
PHP研究所「松下幸之助.com」