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M&Aガイド

【社長のための経営相談所】親族や従業員から後継者を見つけられないと事業承継は難しいのでしょうか?

社長のための経営相談所_親族、従業員以外への承継方法

この【お悩み解決!社長のための経営相談所】では、経営者の方が抱えられているお悩みやよくあるご質問に回答する形で解説していきます。

【Q】親族や従業員から後継者を見つけられないと事業の継続は難しいのでしょうか?

経営者が、経営からの引退を検討し、誰かに事業を引き継ぎたいと考えたとき、親族に継ぐ、従業員に継ぐといった方法がまず思い当たるかと思います。しかし、それ以外にも、事業を継続する方法は当然あります。

実際に、どのような手法がどれくらい採られているのか、事業承継の実例を中小企業庁の発表(中小企業白書(2020年版))から見てみましょう。

事業を承継した社長の先代経営者との関係
図1 事業を承継した社長の先代経営者との関係
「中小企業白書(2020年版)」(中小企業庁)

この結果を見ると、親族内承継(同族承継)が最も多く、次いで内部昇格が多い結果となっており、一般的な印象のとおり7割近い企業が、親族や役員・従業員から後継者を選んでいる実態がわかります。

それだけを聞くと、周囲に後継者候補がいないとなれば廃業しかないのか、と不安に思われるかもしれません。しかし、グラフを見ると、近年、親族内承継は明らかに減少傾向にあり、一方で外部招聘やM&A(グラフ上の「その他」に含む)の割合が高まってきていることがわかります。後継者が自身の周囲に見つからない場合においても、事業を引き継ぐ別の手段が広まってきていることがわかります。

特に、後継者問題に端を発した事業承継、M&Aが、近年は増加傾向にあります。その背景のひとつにM&Aの認知が拡大し、課題解決の選択肢として広く推奨されていることもあるでしょう。国としても、後継者問題への対策として各都道府県に事業承継・引継ぎ支援センターを設置したり、事業引継ぎガイドラインを策定するなど、M&Aをはじめとする「事業を絶やさない取り組み」に力を入れています。

M&Aの実施状況と業績推移
図3 M&Aの実施状況と業績推移
「中小企業白書(2018年版)」(中小企業庁)

また、M&Aのメリットとして、単に事業が引き継がれるだけでなく、買収企業と譲渡企業とのシナジー(相乗効果)によって事業がさらに発展する可能性があるという点も見逃せません。

中小企業白書(2018年版)によれば、M&Aを実施した企業は、実施・検討していない企業に比べて、売上高・経常利益が増加傾向にあったとする割合が高くなっています。必ずしもM&Aだけが業績向上の理由ではないにせよ、M&Aが事業の発展につながった理由のひとつであることがうかがえます。

M&Aを実際に実施した上での効果
図4 M&Aを実際に実施した上での効果
「中小企業白書(2018年版)」(中小企業庁)

また、M&Aを実施した企業は、その効果として「シェア・事業エリアが拡大できた」「卸販売から直売方式に移行できた」といったコメントを挙げています。つまりM&Aは、単純な事業の継続手法としてだけではなく、買収企業、譲渡企業がそれぞれ持つ強みのシナジー(相乗効果)によって、共にさらに発展できる可能性がある方法であるといえます。

さて、冒頭の質問に答えるならば、後継者が周囲にいない場合でも、外部招聘やM&Aによって事業を継続させることがもちろん可能です。また、M&Aであれば、単に事業を引き継いでもらうだけではなく、企業同士の強みの相乗効果によって、さらなる発展を実現することもできます。

オンデックは、M&Aによって企業が築いてきた歴史と伝統を絶やすことなく、より発展していくことが重要であるという考えのもと、M&Aの仲介・支援を行っております。M&Aに関心がある場合には、ぜひ気軽にオンデックにご相談ください。

文=オンデック情報局