オンデック・プレス ONDECK PRESS
M&Aガイド

【社長のための経営相談所】廃業を考えていますが、事業承継も検討した方がいいですか?

社長のための経営相談所_廃業か承継か

この【お悩み解決!社長のための経営相談所】では、経営者の方が抱えられているお悩みやよくあるご質問に回答します。

【Q】廃業を考えていますが、事業承継も検討した方がいいですか?

廃業するのか? 事業を引き継ぐのか? その選択において多様な考え方・観点がありますが、今回は、引退後の人生の満足度という点から回答します。

経営者が引退を考えるにあたって、事業の経営状態によっては廃業という選択肢しか取れない場合もあるでしょう。しかし、可能であれば、事業が承継できないかを可能な限り検討したほうが、その後の人生の満足度は高くなりそうです。

中小企業庁が公開している中小企業白書(2019年版)に、経営を引退した後の人生の満足度に関する調査が掲載されています。
経営から引退すれば、一般的には自分の時間が持てるようになり、精神的な余裕が増える状態になるかと思います。しかし、選択した引退方法により、その後の生活に関する満足度が大きく変化するようです。

以下は、事業を廃業して引退した経営者と、事業を引き継いで引退した経営者の、その後の収入や生活に対する満足度を調べたデータです。

引退した経営者の現在の収入の満足度
図1 引退した経営者の現在の収入の満足度
「中小企業白書(2019年版)」(中小企業庁)
引退した経営者の現在の生活の満足度
図2 引退した経営者の現在の生活の満足度
「中小企業白書(2019年版)」(中小企業庁)

事業承継を行った経営者は、廃業を選択した経営者に比べて、収入面でも生活面でも、ともに満足と回答している割合が明確に高くなっています。
事業承継を行った場合、事業の売却益等により経済的な余裕が増え、結果として生活においての満足度も比例して高くなっているように見えます。

もう少し詳しく見てみましょう。引退後の生活の「満足の理由」について調査したデータがあります。

引退した経営者の現在の生活が満足な理由
図3 引退した経営者の現在の生活が満足な理由
「中小企業白書(2019年版)」(中小企業庁)

これを見ると、「時間的・精神的な余裕がある」といった回答が大部分である一方で、やはり、「経済的余裕がある」と回答された割合は、事業承継した経営者の方が約15%も高い結果となっています。

あくまでも一つの観点でしかありませんが、上記の調査からは、経営者が引退する時には、事業については廃業ではなく引き継ぐ可能性をなるべく模索したほうが、その後の人生がより満足度が高いものになりそうだと考えられます。

文=オンデック情報局