成約インタビュー INTERVIEW
買収企業インタビュー
製造業

家具メーカーを買収し受注拡大と仕入れ最適化を果たした資材会社のM&A

譲渡企業
買収企業
業種
製造業
卸売業
M&Aの目的
後継者問題の解決
事業拡大

会社の成長戦略としてM&Aを実施するメリットは、事業の拡大や業務の効率化など多岐にわたります。建設資材会社の経営者である高田信匡氏(仮名)は家具製造業への進出を思い描き、その手段としてM&Aを選択。決断に至った理由には、M&Aによる事業拡大を成功させる学びが多く含まれていました。

家具メーカーを買収し受注拡大と仕入れ最適化を果たした資材会社のM&A

M&Aは10年、20年先への投資

高田氏が経営するタカダ工房(仮称)は、住宅の内装を中心に様々な資材を製造・納材しており、高品質なのに低コストであるため業界でも評判でした。しかし、高田氏は「人口の減少によって住宅市場の需要が減ってきている」と危機感を覚え、新しい事業に挑戦したかったそう。

「材木をどんなところで使うのかと考えたとき、目についたのが居酒屋の内装。住宅より店舗の方が良いだろうと思ってリサーチしたら、内装材一式は家具と什器の製造会社に発注しているという会社が多かった。家具なら弊社の事業ともコラボレートできる、一般家具や高級家具は難しいがオーダーメイド家具ならチャンスはある、と考えました」(高田氏)

ただ、職人の採用や設備の購入など、一から事業を拡大するには人的にも資金的にも大きなコストがかかります。「家具製造事業を始めるにはきっかけが必要だ」と思案を重ねた結果、高田氏は家具製造会社のM&Aに思い至ります。

「実は、かつて廃業する会社から設備を購入したことがありました。それまでは和室の和室用の住宅材を多く作っていましたが、以降は洋室用も作り始めることができようになった。そのとき“小さなM&A”みたいな感覚でしたので、今回、家具の製造を始めるにあたってもM&Aが有効ではないかと思ったんです」(高田氏)

さっそく高田氏は自社のコンサルタントに相談。中小企業のM&Aに強い仲介会社ということでオンデックに依頼することに。そこからはスピード展開。条件に合う家具製造会社のキタミヤ家具(仮称)が見つかり、見事にM&Aを果たします。

「関心表明をしたのは弊社だけだったので、相手の条件を飲めるなら上手くいくと確信していました。財務状況や投資に関する分析は弊社のコンサルタントに、M&Aの段取りや交渉はオンデックさんに任せていたので、私としてはやりやすかった。専門外の部分をサポートしてくれる人がいたのがスムーズに進んだ要因ですね」(高田氏)

その口調は、当初から成功を確信していたかのよう。高田氏にはM&Aへの不安はなかったのでしょうか?

「いや、悩みましたよ。ですが最終的には、とりあえずやろうと決めてました。全てが良い状態ではないのはわかっていますし、M&Aをするなら覚悟が必要。そもそも、すぐに成果が出るとも思っていませんでした。50年100年と長期的に見て利益が出れば良い。そのために10年20年と時間をかけて形にしていく。要は、未来への投資ですね」(高田氏)

建材×家具製造の相乗効果! 受注拡大と仕入れの最適化に成功

譲り受けた会社の発展のため、相乗効果を活かし営業範囲を拡大

会社の将来を見据えた戦略的M&A。高田氏の判断は正しかったのか、その現在を尋ねると、次のように教えてくれました。

「今は仕事も少ないこともあり、キタミヤ家具のお得意様との関係性を見直しています。値引きや取引条件の面などで、言葉は悪いですがいいように使われていると感じる部分があった。新しい仕事を取る必要もありますが、まずは地盤を固める時期だと思っています」(高田氏)

M&Aをしてすぐに順風満帆なスタートとはならなかったようですが、そこは高田氏の想定内。ネガティブな面を洗い出して早々に改善を進めているとのこと。一方で、すでに成長の兆しも見え始めているそうです。

「弊社には家具や什器を扱っているお客様もいるので、譲り受けた会社を紹介して仕事を依頼いただいています。徐々にですが、営業の幅は広がっているんです。そうやって実績を積み重ねていけば信頼に繋がり、新しい仕事にも挑戦できるはず。例えばホテルの建設や店舗全体の拡充など、これまでにない取り組みもできるかもしれません」(高田氏)

さらに、タカダ工房とキタミヤ家具のそれぞれの仕入れルートを使うことで、今まで以上に材料を安く仕入れられるようにもなりました。成果としては小さいものの、受注の拡大と仕入れの最適化など、各所で相乗効果が出始めているのです。

「次の課題は職人の増員ですね。キタミヤ家具には4人しかいないのに、弊社のお客様から下駄箱100台やホテル1棟分など、すごい量の見積りをお願いされることがある。当然、受けるのが難しい規模なので、早く人を増やしたいんですがタイミングが難しいですね」(高田氏)

確実にステップアップを重ねる現状に、嬉しい悲鳴をあげている高田氏。今後について意気揚々と語る姿は、今回の“未来への投資”に手応えを感じている証拠でしょう。

COMMENT
オンデックからのコメント

一から事業を築くのは、従来の業務を行いながらでは非常に難しいものです。コストも手間もかかるためペースも遅くなりがちで、機を逃すことも少なくありません。一方でM&Aは、対象企業の資産を活用できるので、事業拡大がスピーディ。相乗効果も期待でき、長期投資として効果的な選択肢となります。

 

本件のポイントは、関心表明の段階からM&A後のビジョンを明確に描けていたこと。また、それを短期間で成し遂げようとせず、相乗効果を見据えて時間をかけて事業を拡大しようとしたことでしょう。事業戦略としてのM&Aを検討をされているなら、ぜひオンデックにご相談ください。