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【朝礼で活きる経営者の名言・格言】成長し続ける企業文化を築く「マーク・ベニオフ」の名言・格言

企業文化とは「経営者を含め会社で働く全ての人が共有する価値観」のこと。組織としての行動指針であり、事業拡大の基盤として多くの経営者が重要視しています。

その代表として挙げられるのが、クラウド型CRM(顧客関係管理)サービスを提供する「セールスフォース・ドットコム」創業者であるマーク・ベニオフ氏。ハーバード・ビジネス・レビュー誌で「最高業績をあげたCEO上位10人」に選ばれるなど、優れた経営者として世界中に知られています。

「企業のバリューに基づいた企業文化が成長のエンジンだった」というベニオフ氏の言葉には、セールスフォースを世界的規模へと成長させたエッセンスが詰まっています。氏の金言を活用すれば、事業がたくましく成長する企業文化が醸成されるかもしれません。

「セールスフォースの成功の真のストーリーを最もよく表すのは、頑固さやエゴよりも信頼が勝った瞬間だ」

ベニオフ氏がセールスフォースにて第一のバリューとして掲げたのは「信頼」でした。なぜなら、氏は常に顧客からの信頼を優先して成功を収め続け、「セールスフォースの成功の真のストーリーを最もよく表すのは、頑固さやエゴよりも信頼が勝った瞬間だ」と信じていたのです。

氏が信頼を得るために取った行動は枚挙にいとまがありませんが、中でもユニークなのは2006年に登場した「Salesforce Trust」でしょう。これは、セールスフォースが提供するサービスの稼働情報を表示するサイト。今ではSNSなどでサーバーダウンなどを周知する企業は増えましたが、当時では非常に先進的な取り組みでした。

かつてセールスフォースではシステムトラブルが少なくなく、顧客から問い合わせが続出。しかし、システムの脆弱性を認めるリスクを取れなかったため満足な回答ができず、顧客の不満が募っていました。解決策を求められる中、経営陣の一人が「リアルタイムで状況を正確に伝えよう」と提案。ベニオフ氏はリスクが高すぎるとも感じましたが、すぐに「正しい行動だ」と判断し、サービスの開発に至ったそうです。

結果、不透明な対応による顧客の不満は解消。ベニオフ氏はSalesforce Trustを例に挙げて「恥を恐れたり、たとえ売上高が数百万ドルも失われたりしても、それ以上に、透明性が勝利した瞬間」がセールスフォースの成功を表していると回顧しています。

誠実な態度で積み上げた信頼が、企業にとって最大の財産。信頼を価値と捉える企業文化こそ、顧客を真に喜ばせる近道なのです。

朝礼で伝えたいポイント:信頼に勝る利益なし!

・リスクを冒しても顧客にとっての最良を考える
・誠実な態度が顧客の信頼感を高める
・従業員全員が顧客の信頼を得るために行動することが重要

朝礼での活用例

おはようございます。突然ですが、皆さんは会社にとって一番の成功とは何だと思いますか? GAFAに引けを取らない成長を遂げている大企業、セールスフォース・ドットコムのCEOであるマーク・ベニオフさんは、次のように話していました。

「セールスフォースの成功の真のストーリーを最もよく表すのは、頑固さやエゴよりも信頼が勝った瞬間だ」

今や世界有数のクラウドサービスを提供するセールスフォースですが、2000年代の中頃はシステムの不具合が多かったそうです。当然、お客様からの問い合わせも続出。しかし、システムの脆弱性を認めることは顧客離れを促す危険もあります。結果、きちんとした説明ができずにお客様に大きな不満を持たせていました。

お客様の不満を解消するにはどうすれば良いか? そこでセールスフォース経営陣の一人が「リアルタイムでシステムの稼働状況を正確に伝えよう」と提案したのです。ベニオフさんはリスクを感じつつも「正しい行動である」と判断。稼働状況をモニタリングできるサイト「Salesforce Trust」を開発し、問い合わせへの不備、そしてお客様が抱く不透明さへの不満を払拭したのです。

ベニオフさんは、企業にとって最も価値があるのは顧客からの信頼だと考えていました。その考えが社内に浸透していたからこそ、自然とシステムの稼働状況を公開するというアイデアが湧き出したのです。

つまり、信頼をいただけるように社員全員が一丸になることが、何よりも大切なのです。私たちの仕事は、すべてお客様のためにあります。もし私がお客様の信頼を損なう行動を取ったなら、迷わず声を上げてください。

「自分の成功が顧客の成功に密接に関係していることを受け入れる必要がある」

セールスフォース社のビジネスモデルはB to Bであり、提供するCRMサービスはサブスクリプション契約。顧客が事業に失敗すると契約の解除に繋がり、逆に成功すれば顧客に契約を継続してもらえる可能性は格段に高くなります。

それをベニオフ氏は深く理解しており、「自分の成功が顧客の成功に密接に関係していることを受け入れる必要がある」と主張。サービスの改善において「顧客が完全にまだ気づいていない場合でも、顧客が本当に望んでいることにじっくりと耳を傾けなければならない」と語っています。

創業初期からカスタマー・サクセス(顧客の成功)を掲げていたベニオフ氏。その重要性について確信を深めたのは、アメリカの大手金融機関、メリルリンチからのクレームがきっかけでした。2013年、メリルリンチは「システムが使いづらい。早急に改善されなければ契約を解除する」とベニオフ氏に告げたそうです。

ベニオフ氏は、さっそく何が問題だったのか調査に乗り出します。命を受けた優秀な経営幹部がメリルリンチの支店に足を運び、現場の人間に問題点や改善を望む機能について聞きましたが、具体的な解答は得られませんでした。そこで幹部はシステムについてではなく、現場が抱えている課題を聞き出すことで、顧客が本当に望む機能を把握。抜本的なシステム変更を実施し、セールスフォースはメリルリンチとの関係性を回復できたそうです。

メリルリンチとの一件でベニオフ氏は、顧客との契約を維持することではなく「この先何年も顧客が成功するために必要なツールを提供することが、私たちにとっての成功」と、改めて考えを深めたそうです。

顧客に言われるがまま従うのではなく、顧客に寄り添って事業の成長を目指すこと。そして会社全体で顧客の成功に向き合う姿勢が、事業に大きな利益をもたらしてくれることでしょう。

朝礼で伝えたいポイント:成長は天下の回り物

・目先の問題ではなく本質的な課題を捉えて改善する
・顧客を成功に導くパートナーとなる
・顧客の成功を通じて自社も成長できる

朝礼での活用例

本日は、私が尊敬するセールスフォース・ドットコムのCEOであるマーク・ベニオフさんの言葉を皆さんに贈りたいと思います。

「自分の成功が顧客の成功に密接に関係していることを受け入れる必要がある」

2013年、セールスフォースは当時唯一の大手取引先であったアメリカの金融機関「メリルリンチ」から契約を解除されそうになっていました。ベニオフさんは「早急に改善しなければならない」と、優秀な経営幹部をメリルリンチの支店に派遣しました。しかし、現場からは改善につながる具体的な問題点を得られなかったそうです。

そこで、システムについてではなくメリルリンチの現場の課題から、顧客が望む機能を逆算。真に顧客が望むシステムを作り上げ、メリルリンチとの関係性を回復しました。この経験から、ベニオフさんは顧客が成功するために必要なツールを提供することが大事だとする創業初期の考えを思い出し、「顧客の成功が自分たちの成功である」という確信を深めました。

これは全ての会社に当てはまることだと、私は思います。お客様に従うだけの「便利屋」になるのではなく、お客様を成功に導くパートナーとなる。ぜひ、そういった気持ちで仕事をしてみてください。必ずや、大きな成果が挙げられることでしょう。

「イノベーションを探求するのが私たちのやり方なんだよ」

セールスフォースでは、信頼やカスタマー・サクセスと並べてイノベーションも企業のコアバリューとしています。ただベニオフ氏はあくまでもアイデアによるイノベーションを重視。かつて入社したばかりのチーフサイエンティストに「(研究開発に)十分にお金をかけてない」と言われたときも「イノベーションを探求するのが私たちのやり方なんだよ」と諭したそうです。

セールスフォース流のイノベーションは、ベニオフ氏の成功体験に基づいています。2003年、ベニオフ氏は師と仰ぐ故スティーブ・ジョブズ氏から「君たちにはアプリケーション・エコシステムが必要だ」と助言されたことがありました。

そこで、ベニオフ氏はセールスフォースのプラットフォーム上で世界中のエンジニアが開発したアプリケーションを公開できる「AppExchange」を開発。奇しくも故ジョブズ氏によるAppleの「App Store」と類似したシステムを先駆けて作ったのです。

AppExchangeによってセールスフォースでは、自社だけではなく外部からもイノベーティブなアプリケーションが生まれる基盤を構築。これはWEB業界の分岐点となった“発明”であり、ベニオフ氏に「イノベーションはどこからでも出現する」と悟らせたのです。

組織作りにおいても同様で、セールスフォースでは全従業員が職位に関わらず、新しいアイデアを出すことが奨励されています。「自分のアイデアを語ることが事業に役立つ」という自信を持って、誰もがアイデアを語れる環境が出来上がっているのです。

好奇心を持つ多様な人へアイデアを追求する権限が与えられた組織からは、世間の常識を覆すようなアイデアが飛び出すことでしょう。セールスフォースが実証した組織作りを参考に、社員が楽しげにアイデアを話せる企業文化を構築してみてください。

朝礼で伝えたいポイント:イノベーションの種はどこにでも存在する

・イノベーションを生むのは予算ではなくアイデア
・アイデアには役職は関係ない
・日常的に自分のアイデアを語ることが大切

朝礼での活用例

皆さんはセールスフォース・ドットコムというアメリカの会社を知っていますか? ご存知の方も多いと思いますが、セールスフォースは世界有数のテック企業。早くからクラウド型CRMサービスを提供し、多くのイノベーションを創出してきしました。

しかし、セールスフォースの開発予算は同規模の会社と比べると多くはなく、入社したばかりのチーフサイエンティストに「十分にお金をかけてない」と、CEOであるマーク・ベニオフさんは指摘されました。

それ対してベニオフさんは「イノベーションを探求するのが私たちのやり方なんだよ」と諭したそうです。

セールスフォースには、プラットフォーム上で世界中のエンジニアが開発したアプリケーションを利用できる「AppExchange」を設け、大きなイノベーションを生んだという実績がありました。実はAppleのApp Storeよりも先に構想されたサービスであり、「App Store」という商標もベニオフさんが持っていましたが、懇意にしていたスティーブ・ジョブズさんに譲ったという逸話もあります。

……少し話が逸れましたが、ベニオフさんはAppExchangeによって「イノベーションはどこからでも出現する」と確証を得たのです。実際、セールスフォースでは従業員の誰もが事業に対するアイデアを話せる環境があり、インターンの学生までもが積極的に発言するそうです。

これを聞いて、私は皆さんのアイデアを聞き入れる姿勢をきちんと示してこなかったことを反省しました。どんなアイデアでも問題ありません。ぜひ皆さんの考えを教えてください。もちろん、私だけに限らず上司や同僚、部下との会話にも皆さんの考えを率直に話していただきたい。我が社がより良く成長していくために、ご協力をお願いします。

従業員と誠実に向き合うことが企業文化を醸成するポイント

マーク・ベニオフ氏は企業のバリューを基準に、経営者として意思決定を下してきました。ただ、氏が最も適切な方法を選択し続けられたのは、経営陣や従業員と同じ目線で議論し合えてきたことが大きいでしょう。つまり、セールスフォースの成長は企業文化に支えられてきたといえます。
セールスフォースのような、骨太な企業文化を築くには時間を要します。しかし、長い目で見れば、企業文化の構築が貴社に大きな成功をもたらしてくれるはずです!

文=オンデック情報局

マーク・ベニオフ 1964-
セールスフォース・ドットコムの会長兼CEO。フォーチュン誌による世界中の会社を対象とした総収益ランキング「フォーチュン500」に入るまでセールスフォースを育てあげ、同誌からは「世界最高のリーダー」にも選出されている。

参考図書
「トレイルブレイザー 企業が本気で社会を変える10の思考」マーク・ベニオフ&モニカ・ラングレー(著)/渡部典子(訳)|東洋経済新報社