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【朝礼で活きる名言・格言】独創的なアイデアを引き出す「江崎利一」の名言・格言

朝礼で活きる名言・格言_江崎利一

モノやサービスを作るにはアイデアが求められます。より優れたアイデアを得るには、社員が自由に提案できる「場」作りが必要です。

江崎グリコの創業者である故・江崎利一氏は、商売においては「当たり前を超える工夫が重要だ」と考えていました。その結果、当時、誰も思い付かなかった商品と画期的なモノの売り方で、会社を国民的なお菓子メーカーに成長させました。

故・松下幸之助氏が師と仰いだ江崎氏は創意工夫の達人であり、その言葉からはアイデアの大切さを学べます。朝礼で社員に贈れば、江崎氏のような考え抜く姿勢と創意工夫の意識が身につくはず。社員一人ひとりが独創性を発揮すれば、事業全体が大きく発展することでしょう。

 

「単なる人真似では行きたくなかった」

画期的なお菓子をいくつも発売してきた江崎グリコ。その根底には、江崎氏のこだわりがありました。江崎氏は商売人としての独創性を誇りに思っており、「単なる人真似では行きたくはなかった」と語ります。実際、江崎グリコ創設の発端となった栄養菓子「グリコ」自体が、江崎氏の独創性を証明しています。

1919年、江崎氏は牡蠣の加工小屋で捨てられていた煮汁を見て、「牡蠣にはエネルギーの代謝に必要なグリコーゲンが含まれている」という情報を思い出しました。持ち帰って化学的に分析すると、煮汁にはグリコーゲンをはじめ、栄養が豊富に含まれていることが判明。江崎氏は、このグリコーゲンを利用して商品を作ろうと考えました。

結果、江崎氏は最もグリコーゲンを必要とする子供向けお菓子を開発。グリコーゲンを入れた飴菓子を作り上げたのです。ただ、当時は森永ミルクキャラメルや明治キャラメルが大ヒット中。周囲からは「キャラメルとして売り出そう」という声が上がりました。しかし、江崎氏はそれらとは異なる新商品だと強調しないと先発企業には勝てないと反論しました。

まず江崎氏は名前を文字数の少ないグリコに決定。形もハート形にして、キャラメルの方形と差別化しました。さらに、キャッチコピーは「一粒300メートル」と栄養価を訴求。キャラメル菓子との違いを徹底的に打ち出したのです。

当時の江崎グリコは森永製菓などと比べると小規模な企業でしたが、独自のポジションを築いて成長していきました。競合他社、特に自社より資本がある相手に勝つには、商品の模倣では難しかったでしょう。劣勢の中で成長し続けるには独自性が必要不可欠。アイデアにも個性が求められていることを社員に伝えれば、より素晴らしいアイデアが提案されるかもしれません。

朝礼で伝えたいポイント:独創性が成長を生み出す

・ビジネスマンには独創性が求められる
・誰の目にも違いが明確になるほど工夫をする
・成長し続けるためには独自性が必須

朝礼での活用例

おはようございます。本日は、江崎グリコの創業者である江崎利一さんのお話をしたいと思います。江崎さんは「経営の神様」言われた松下幸之助さんが師と仰いだ人物です。当然、経営者として優れているのですが、私はそれ以上に江崎さんの価値観に惹かれています。

「私はどこまでも商売人としての独創性を誇りたかった。単なる人真似では行きたくはなかったのである」

この言葉からもわかるように、江崎さんは仕事の独自性についてこだわっていました。江崎さんが一から手がけた栄養菓子のグリコが、その最たる例でした。

栄養が必要な子供に向けて、グリコーゲン入りの飴菓子を作るという発想がまず見事! さらに当時人気だった森永キャラメルや明治キャラメルと差別化するため、さまざまな工夫もこらしました。安易にキャラメルと名付けず、グリコと命名。キャッチコピーも「一粒300メートル」と、お菓子の栄養価を全面に押し出しました。

当時の江崎グリコの資本は森永製菓の約1/22以下。先に森永キャラメルがヒットしている以上、同じことをしていては勝てないと江崎さんは考えたのです。そして、その独自路線が受け入れられ、江崎グリコは日本を代表するお菓子メーカーへと成長したのです。

我が社も競合他社の後塵を拝している部分があるのは事実です。それを認めた上で、私からは皆さんに個性的なアイデアの提案をお願いしたいと思っています。あなたにしかできない創意工夫の積み重ねが、我が社とあなた自身を大きく成長させてくれるはずです。

「オマケを生み出すほどの創意工夫こそが、グリコ発展の原動力」

江崎グリコのお菓子を思い浮かべるとき、オマケのおもちゃをイメージする人も多いでしょう。お菓子にオマケをつけることは江崎グリコが先駆けで、1922年に「絵カード」をグリコに付属したのが始まりでした。当時としては斬新なアイデアで、江崎グリコが発展する原動力となったのです。

ただ、他がやっていない行為は良くも悪くも目を引くもの。「グリコはオマケで売れた」と揶揄されることもありました。しかし、江崎氏はこれに対して「オマケを生み出すほどの創意工夫こそが、グリコ発展の原動力」と返答したのです。

実は、グリコは発売当初あまり売れず、返品も多かったのです。江崎氏は苦境を打破すべく、グリコを多角的に改善。ミルクやチョコレートなどを加えて味を変え、無料の試供品を提供するなど多種多様な工夫を講じました。

その一つが絵カードです。当時たばこに封入されていた美人画から着想を得て、子供が好きそうな絵をカードにして付属。ユニークなのはお菓子とおもちゃで1つの商品と、江崎氏が捉えていたこと。江崎氏は子供にとって「食べることと遊ぶことは切り離せない」と考え、お菓子とおもちゃで「食べる」と「遊ぶ」の2つを提供したのです。

グリコが国民的なお菓子へと成長できたのは、売上を上げるためでなく、子供を喜ばせるための改善を行ったからでしょう。ぜひ、本質的な価値を伴うアイデアの大切さを説いてみてください。事業はもちろん、ビジネスマンとして社員一人ひとりの成長につながることと思います。

朝礼で伝えたいポイント:アイデアは本質を捉えているかが大事

・あらゆる角度から商品やサービス価値を高める工夫をする
・事例がないアイデアも恐れず検討する
・顧客を喜ばすことが優れたアイデアの証

朝礼での活用例

みなさんは、オマケつきお菓子を買ったことがおありですか? お菓子におもちゃをつけたのは、江崎グリコが1922年に栄養菓子「グリコ」が始まりでした。これは当時としては非常に画期的なアイデアでしたが、「グリコはオマケで売れた」と批評されていました。

しかし、それに対して創業者の江崎利一さんは「オマケを生み出すほどの創意工夫こそが、グリコ発展の原動力」と言い返したのです。

発売当初、グリコはまるで売れていませんでした。そういった中で江崎さんは子供に受け入れてもらえるよう、お菓子の味を変えるだけでなく、子供が好きそうな絵をカードにして付属したのです。

江崎さんは子供の生活をよく観察し、「子供は、食べることと遊ぶこと両方が揃っていないと満足しない」と考えました。江崎さんにとってグリコのおもちゃは“オマケ”ではなく、お菓子と一体の商品でした。その証拠に、現在に至るまで江崎グリコでは付属品をオマケでなく「おもちゃ」と呼んでいます。

食べることと遊ぶことの2つを提供したグリコはその後、国民的なお菓子に成長しました。江崎さんが言うように、子供が満足する商品を目指した創意工夫が成功を生んだのです。

皆さんも仕事をしながら自分なりにアイデアを振り絞っていると思います。しかし、重要なのは「本質的な価値を伴っているか」どうか。目の前の問題を解決するのではなく、お客様を喜ばすために前例に捉われない自由な発想で考えてください。その創意工夫が事業、そしてみなさん自身の成長に繋がると思います。

「販売方法を変えればそれが新商売となる」

江崎氏は「商売が成功するには専売特許をとるか、新需要をつくるか、または斬新な販売方法を講ずるか、3つのうちいずれかである」と唱えていました。斬新な商品に目が向きがちですが、江崎氏は販売方法も重視していたのです。

「商品を変えなくとも、その販売方法を変えればそれが新商売となる」というのが江崎氏の持論。それは、グリコを開発する前にワインの販売で成功した経験がもとになっています。

江崎氏の実家は佐賀県で薬種業を営んでいました。家業を継いだ江崎氏は、滋養強壮に効くとして需要が高まっていたワインを取り扱い始めます。そんな中で、佐賀でワインの空き瓶を買い集めて大阪の問屋に送っている業者に出会います。話を聞くと、その空き瓶は大阪でワインを詰め直して再販売されているとのことでした。

そこで江崎氏は「佐賀に自社がある自分がワインを小瓶に詰めて売れば、大阪の店よりも安く売れる。さらに海外からワインを樽で大量に直輸入できれば原価を抑え、大儲けができる」と思い付いたそうです。ワインの販売事業は想像通りに大成功。江崎氏の会社は、九州のワイン販売でトップの業者となりました。

江崎氏は後に「ワインの瓶詰め販売も新しい販売方法の勝利だった」と語ります。販売方法には商品の価格設定だけでなく、販売場所や広告展開なども含まれます。アイデアを考えるときは、より広い視野で物事を見ることが肝心。ちょっとした工夫でも新商売となり得ます。普段の仕事の課題や改善案を社員から募ってみてください。それが、新たなビジネスの種火となるかもしれません。

朝礼で伝えたいポイント:アイデアは広い視野から出すこと

・方法を変えるだけで新商売となる
・革新的なアイデアなくても成長できる
・広い視野を持って物事を見る

朝礼での活用例

江崎グリコの創業者である江崎利一さんは、グリコやポッキーなど大ヒット商品をいくつも世に送り出してきました。

とてつもないアイデアマンだった江崎さんですが、同時に「商品を変えなくとも、その販売方法を変えればそれが新商売となる」とも語っています。革新的な発想や技術がなくても、成功ができることを知っていたのです。

実は、江崎さんはお菓子を手掛ける前、佐賀でワインの販売事業を行っていました。当時は大阪の問屋が佐賀から空き瓶を仕入れて瓶詰めして販売していたのですが、江崎さんは「空き瓶の輸送が無駄だ」とすぐに気づきました。

そこで佐賀に本社がある自分達で海外からワインを大量に直輸入し、ワインを瓶詰めして販売したのです。大阪の問屋よりも原価を抑えられて、江崎さんの会社は九州で一番のワイン販売業者に成長できました。後に江崎さんは「ワインの瓶詰め販売も新しい販売方法の勝利だった」と語っています。

商売は技術だけでは成り立ちません。だからこそ、販売の仕方を変えるだけで大きな成果を生むことができます。日々の営業でも少し売り方を工夫するだけで、それが新たな事業となるかもしれません。ぜひ広い視野をもって、みなさんも業務を改善してみてください。

アイデアを積み重ねる習慣を作ろう!

江崎氏は経営者としてだけでなく、マーケッターとしても秀でていました。日常生活からユーザーのニーズを汲み取って、商売に生かすことができたのです。しかし、最も素晴らしかったのは「やるべきこと」を見誤らなかったことです。

江崎氏は「食品による国民の体位向上」を掲げ、健康に良い食品作りに注力しました。それによってお菓子メーカーとは一線を画す独自のポジションを築けたのです。会社は、自社ならではの仕事を積み重ねることで成長しますが、そこには独自のアイデアが必要です。江崎氏の言葉を通じて、アイデアを考え続ける習慣の大切さが浸透すれば、事業がさらに成長していくことでしょう。

文=オンデック情報局

江崎利一(えざき りいち) 1882-1980
江崎グリコの創始者。1921年にグリコーゲンを利用した菓子「グリコ」を作り、1922年に大阪・三越で販売。太平洋戦争で国内外の工場と資産を失うが、終戦後にしばらくして大阪と東京の工場を再建。「アーモンドグリコ」や「ポッキー」など、数々の大ヒット商品を生み出した。享年97歳。

参考図書
「日本の企業家 12 江崎利一」宮本又郎|PHP経営叢書
「創立100周年記念サイト」|江崎グリコ