成約インタビュー INTERVIEW
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卸売業

4ヵ月で成約し事業拡大に成功! 漁業用の機器を取り扱う卸売業のM&A

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業種
卸売業
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M&Aの目的
後継者問題の解決
事業拡大

M&Aは、その意思を固めてからでも、お相手探し、その後の調整などで1年以上かかることが一般的です。そんな中で、海洋関係の卸売業である有限会社アイティ企画と株式会社シモセンは、わずか4ヵ月でM&Aの成約に至りました。

成約後の企業間の融和も順調に進んでいます。短期間でM&Aできた秘訣はどこにあるのか? そのポイントを、譲渡したアイティ企画の石井武社長と息子の隆生氏、譲り受けたシモセンの村上博史社長にお聞きしました。

成約インタビューvol.3

(左から、アイティ企画の石井隆生氏、石井武氏、シモセンの村上博史氏)

M&Aが後継者問題の最も確実な解決策だと判断した

アイティ企画は石井武氏が創業。漁船向けの機器などを販売しています。メインとなる商材は、日本から離れた漁場で収穫する「海外まき網漁業」で主に利用される衛星ブイ。漁業者の負担を減らし、水揚げ量のアップにも効果があります。需要が高まっているデジタル機材であり、魚探機能付衛星ブイでアイティ企画は国内トップのシェアを誇っていました。

「衛星ブイの世界シェア50%を誇る世界的企業と契約しており、日本国内で独占販売できるのが私たちの強み。海外まき網以外の漁業でも衛星ブイの活用が見込まれており、事業は順調でした。しかし、会社の今後を考えたら、高齢の私が代表であり続けるより誰かに承継すべきだと思ったのです」(石井武氏)

後継者として当初、息子の隆生氏に白羽の矢を立てましたが、元々ITエンジニアとして働いていた隆生氏は「今後の会社と従業員のためには、もっと経営が上手な誰かに託すべき」とそれを辞退しました。

大切な会社を残すためにはどうすべきか? 武氏と隆生氏は1年ほどかけて様々な選択肢を検討し、「円滑な事業承継を行うならM&Aが最も確実だ」という結論に至りました。さっそく2人は東京都の事業承継・引継ぎ支援センターに相談。会社の規模から「民間のM&A仲介業者に依頼した方が良い」と助言を受け、オンデックを含め3社ほど紹介してもらったそうです。

「面談は2021年6月でしたが、父が80歳を迎える同年12月までにM&Aを終えたかった。そんな中で、オンデックさんは初回からスケジュールと候補先のリストを提示してくれました。さらに買い手は必ず現れて成功しますと断言してくれました。初めてのM&Aで不安だったので、とても心強かった。だから、オンデックさんに仲介をお願いしたんです」(石井隆生氏)

短期での成約を望む一方、会社を愛する武氏にとって、お相手は、事業を成長させてくれそうな企業であることも譲れぬ条件でした。そうして始まったアイティ企画のM&Aですが、なんと2021年10月にクロージング。期待以上のスピード成約となりました。

「同業だけでなく投資ファンドなど複数社が候補に上がり、結果的に、最もシナジー効果を期待できるシモセンさんに譲渡することにしました。船具や救命具の販売をされていて事業的に親和性が高いだけでなく、オーナー企業同士で社風も似ている。社長の村上さんもお会いした当初から好印象で、M&A後も上手くいくイメージがありました。M&A後4ヵ月が経った現在でも、その判断は間違いなかったと思っています」(隆生氏)

石井隆生氏

(「オンデックさんがすぐに対応してくれたのがありがたかったです」と笑う隆生氏)

即断即決の理由は「自社の戦略にベストな相手だったから」

M&Aは両社の合意があって成り立つもの。短期で成約できたのは、譲り受けるシモセン側にとってもアイティ企画が魅力的に見えたからに他なりません。

シモセンは船具を取り扱う商社。救命具の整備では国内トップシェアを誇っていました。しかし、造船業界の再編・再構築が進む中で、安穏としていられる状況ではありませんでした。10年20年先を見据え、昔から取り扱っている水産事業により注力しようと新たな戦略を策定した、そんな矢先に「アイティ企画とのM&Aを提案された」と、シセモンの社長である村上氏は振り返ります。

「じつは、水産事業を強化する上で強い商材が欲しいと思っていたんです。アイティ企画さんが取り扱う衛星ブイは他社にない商材な上、今後、需要が伸びていくデジタルな機材でもあります。シモセンの新戦略にピタリとハマっている。オンデックさんの企業概要書をきっかけにアイティ企画さんの事業や商材を調べたのですが、知れば知るほど興味を掻き立てられました」(村上博史氏)

衛星ブイが加われば、シモセンが取り扱う船舶の設備や救命器具とのシナジーも期待できると村上氏は直感。過去2回のM&Aを成功に導いた実体験からも、「アイティ企画とのM&Aは成功する」とイメージが湧いたそうです。

「アイティ企画さんは事業も財務状況もシンプル。見えない部分は少なかった。だから、トップ面談ではどんな方々なのか知るために、ほとんど雑談していました(笑)。社長の石井武さんは裏表のない人柄で、きっと社員の気風も良いと思った。M&A自体の懸念はありませんでした」(村上氏)

互いに好感を持ったからこそ、以降の交渉もスムーズに。村上氏はオンデックにも「相手に寄り添った対応」を依頼するなど、武氏と隆生氏の心情を思いやっていました。譲受企業として村上氏がとった配慮も、短期成約を導いた重要なポイントです。

村上博史氏

(「取引先が重複していたのもM&Aを進める上でイメージがつきやすかった理由」と村上氏)

M&A後の融和が順調な理由は「会長の人柄」

成約後は、村上氏がアイティ企画の代表取締役に就任。足繁くアイティ企画に通いながら、武氏が会長として実務をサポートしています。トップ同士の良好な関係を反映するように、両社の融和も想像以上に上手くいっているそうです。

「アイティ企画の社員は毎日港に足を運び、地道に営業している。シモセンさんの社員も同様に、毎日港に行っています。扱っている商材は違っても、そこは共通。ともに真面目で、互いに違和感なく話ができています。アイティ企画は東京都で、シモセンさんは山口県なので打ち解け合うには時間がかかると思いましたが、完全に杞憂でした」(武氏)

そしてM&Aから4ヵ月が経ち、両社に早くもポジティブな効果が出ているようです。アイティ企画は営業力が向上。シモセンはグループとして事業を拡大できただけでなく、水産関係の情報量がグッと増えました。

「今は種まき段階ですが、当初以上の期待感が出てきています。衛星ブイの販路拡大に加え、アイティ企画として新商材を取り扱う計画があり、それもシモセンさんと共有が可能です。将来的にはシモセンさんが仕入れた船具・救命器具をアイティ企画で扱うこともあり得る。取引先が増えるシナジー効果だけでなく、販売のスケールメリットも得られると思います」(武氏)

最後に、M&A後の融和が順調に進んでいる理由を尋ねると、村上氏は「石井会長の人柄だ」と教えてくれました。

「石井会長は非常勤なのですが、毎日出社してくれています。しかも自ら積極的に行動しています。私は父親から承継しましたが、石井会長は創業者だからこそのこだわりを持っている。いち経営者として尊敬していますし、そんな会長の人柄がアイティ企画さんにも現れています。会社としての気風が良いからこそ、M&A後も上手くいっているのだと思います」(村上氏)

短期成約を希望するアイティ企画にとっても、水産関係を強化する新戦略を立てていたシモセンにとっても、まさに渡りに船となったM&A。相性抜群のパートナーを得たことで、両社ともに前途洋々たる船出となりました。

石井武氏

(「承継の心配がなくなったという意味では、肩の荷が降りました」と語る武氏)

成約インタビューvol.3

COMMENT
オンデックからのコメント

譲渡企業の事業内容や財務状況が良くても、交渉が上手く進まなければ成約までには当然時間がかかります。本件は条件が合っただけでなく、両社が互いに信頼感を持てたことが短期成約に繋がりました。

キーとなったのはトップ面談。シモセンの社長である村上氏が一人で参加。自分の意見や想いを直接伝えたので、アイティ企画の2人も村上氏の話をすんなり受け入れることができました。第一印象の良さが、さらなる相互理解に繋がったと思われます。

面談の最後には村上氏より、「オンデックさんは泥臭く働くね」とのお言葉を頂きました。オンデックでは両社の希望に寄り添ったコンサルティング・M&A支援を心がけていますが、その想いが通じた案件であったと改めて感じました。M&Aを検討しているなら、ぜひお気軽にご相談ください。

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