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【社長のための経営相談所】経営を引き継いでもらうには、どんな方法がありますか?

経営を引き継いでもらうには、どんな手段がありますか?

この【お悩み解決!社長のための経営相談所】では、経営者の方が抱えられているお悩みやよくあるご質問に回答します。

Q.経営を引き継いでもらうには、どんな方法がありますか?

経営者としての引退を検討するものの事業を継続させたいと考えたとき、その方法はいくつかあります。しかしいずれの場合でも、後継ぎとなる経営者、いわゆる後継者を見つける必要があります。

経営者引退に伴う経営資源引継ぎの概念図
図1 経営者引退に伴う経営資源引継ぎの概念図
「中小企業白書(2019年版)」(中小企業庁)

まず、経営者として引退を考えた場合に、大きく分けて「事業を継続するか」「事業を継続しないか」を検討する必要があります。事業を継続しない場合は、廃業ということになりますが、事業を継続する場合には、新しい経営者に事業を承継する必要があります。

事業の承継方法は、「誰に事業を承継するか」という観点でいえば、図1に示したようにいくつかに分類され、事業を継続したい場合にはチャートの上側を見ることになります。具体的には、まず親族に承継するかどうか、という点から「親族内承継」と「親族外承継」に大別できます。さらに親族外承継は「役員・従業員承継(社内への引き継ぎ)」と、「社外への引き継ぎ」に分けられます。

後継者、という言葉から、親族をイメージする方もいるかもしれませんが、実際には必ずしもそうではありません。上述のように、事業を引き継いでもらう方法は複数あるため、仮に親族に後継者候補がいなくても、事業を継続させることは当然に可能です。
ひとつの方法にこだわらず、「親族内承継」「役員・従業員承継」「社外への承継」といった複数の手法を知り、場合によっては並行して検討しておくことで、後継者不在によるやむない廃業を避けることができます。

事業承継の形態別、後継者を決定し、事業を引き継ぐ上で苦労した点
図2 後継者を決定し、事業を引き継ぐ上で苦労した点
「中小企業白書(2019年版)」(中小企業庁)

さて、ここからは少し補足的な説明になりますが、実際に事業承継を行った経営者が「事業を引き継ぐ上で苦労した」と感じた点を、事業承継の方法別に見てみましょう。

社内への承継では、苦労した点に「後継者の育成」「後継者を補佐する人材の確保」と回答した割合が、社外への承継と比べると高くなっています。一方で、社外への承継では「後継者を探すこと」「後継者との引継ぎの条件を調整すること」と回答した割合が、社内、特に親族内承継と比べて高くなっています。

後継者が決まっている、もしくは候補が見つかっている場合には「経営に関わる事柄の引き継ぎ」に苦労した傾向が見えますが、後継者が見つかっていない場合には「後継者を探す」ということ自体が事業を承継する上での大きなハードルになっているといえます。

「後継者を決めていないが事業は継続したい」と考える経営者の感じる課題とその対策の傾向
図3 「後継者を決めていないが事業は継続したい」と考える経営者の感じる課題とその対策の傾向
「事業承継の実態に関するアンケート(2018年)」(東京商工会議所)

実際に、東京商工会議所の発表した「事業承継の実態に関するアンケート」によると、「後継者を決めていないが事業は継続したい」と考える経営者のうち、後継者の探索・確保を課題と感じる割合が68%にのぼっています。しかしながら、その準備・対策ができていると回答したのは19%にとどまります。

事業承継の準備・対策を進めるためには、まずは早期に後継者を決定することが重要です。事業を引き継ぎたいと考えているものの親族や社内に後継者候補がいない場合には、事業承継・引継ぎ支援センターのような公的機関や、オンデックをはじめとするM&A仲介会社に相談するなどして、後継者もしくは事業を引き継いでくれる企業を探索しておくことをおすすめします。

さて、事業を引き継ぐ方法として「親族内承継」「役員・従業員承継」「社外への承継」といった手法を紹介しました。実際に引退を検討されている場合、状況によって必ずしも任意の承継方法を採用できるとは限りませんが、事業を引き継ぐ方法が複数あることを知っておくことで、後継者が不在である場合や、後継者候補に断られてしまった場合でも、やむない廃業を避けることが可能になります。廃業は関係各所にも多くの悪影響を及ぼしますし、なるべくなら事業の継続を考え、複数の承継手法を並行して検討することをお勧めします。

なお、社外への承継にあたって苦労したと回答した割合が高かったものに「取引先との関係維持」「後継者と引継ぎの条件を調整すること」などもありますが、これらはオンデックをはじめとするM&A仲介会社のサポートを受けることで解決できるポイントでもあります。

オンデックは、譲受企業の探索や、譲受企業との条件調整、取引先や従業員への告知方法など、事業承継とその後の経営が円滑に進むよう、きめ細やかな支援をしています。もし後継者不在により社外への承継を検討される場合には、ぜひオンデックにご相談ください。