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M&Aガイド

【事業承継 種類別メリット・デメリット】シナジー効果で飛躍する会社の成長[社外への承継(M&A)]

M&Aでの事業承継のメリットと留意点

社外の第三者に事業承継を求めるM&Aは、財務、法務、税務等に関する専門的な知識が必要であるため、心理的なハードルの高さが、検討を開始する遅れを招いている側面があります。
そのため、M&Aを検討する場合は、まず専門家に相談に行くことが望ましいと言えます。以下、M&Aによる事業承継を検討するにあたって、事前に知っておいた方がよいメリットと留意点について述べます。

<M&Aによる事業承継のメリット>

広く候補者を外部に求めることができる

親族内や社内に後継者として適任な者がいない場合は、廃業するしか手段がない場合もあります。しかし、社外にまで選択肢を広げれば、企業(事業)の承継先(買収企業)が見つかる可能性が高まります。

後継者教育が不要

親族内や社内から後継者を育成する場合、経営者として育つまで、数年単位の期間が必要になります。しかし、M&Aを活用した場合は、買収企業は、マネジメント体制が確立していることが多いことから、経営に関するノウハウを既にもっており、教育する必要はなく、業務の引継を中心に行えば良いため、事業承継に要する時間は親族への承継や役員・従業員への承継に比べて短いことが多いのが特徴です。

従業員の雇用や取引先との関係を維持

M&Aでの事業承継の場合、従業員の継続雇用、取引先の維持を条件として、買収企業を探すことが可能です。後継者不在という問題を回避して、廃業することなく、企業(事業)を継続することが可能になります。

経営基盤の強化やシナジーによる成長が見込める

通常のM&Aでは、買収企業は自社よりも規模が大きいケースが多いです。そのため、自社単独での経営よりも、経営基盤が強化されます。また、人材やノウハウの獲得、内製化、商圏の拡大など、買収企業とのシナジー効果を発揮できれば、自社だけでは成しえなかった成長が見込めます。

ハッピーリタイアメントすることができる

企業(事業)の譲渡代金が手元に入り、引退後の生活の原資を得られ、ハッピーリタイアメントを送ることができます。財務体質が健全である場合や、優れた技術・ノウハウを有している場合など、買収企業にとって魅力のある企業(事業)であれば、より多くの経済的な利益を受け取れます。

<留意点>

買収企業の探索には一定の時間を要する

一般的に、M&Aの相談をしていただいてから買収企業が見つかるまでに、半年から1年程度の期間がかかります。(※3ヶ月程度でスピード成約するケースもあれば、2~3年と長期に亘るケースもあります。)現時点では事業承継が差し迫った問題ではなくても、早めに、専門家に相談に行くことが望ましいと言えます。

秘密保持の徹底

M&Aの話を、一緒に企業(事業)を盛り立ててくれた幹部社員だけは、事前に話をしておきたいと要望されるケースがありますが、絶対にお勧めしません。「ここだけの話」が他の社員や取引先に伝わり、従業員の退職や取引先から取引を見直されるなど、M&Aの取り組み自体をストップせざるを得ないことが発生してしまうケースもあります。

買収企業との条件合意が大前提

譲渡希望価格や取引条件など、買収企業と様々な条件について、双方が合意する必要があります。条件に合意できなければ、そもそもM&Aが成立しないため、条件交渉には多大な労力が必要になります。

文=岡本秀治(弊社コンサルタント)