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突然のケガから引退へ。後継者問題を乗り越えた測量・設計業のM&A

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業種
技術サービス業
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M&Aの目的
後継者問題の解決
事業エリア拡大

ハッピーリタイアとは、老後の資金を持って豊かな“第二の人生”を迎えること。今回は、自身のケガをきっかけに経営からの引退を検討し、結果として満足のいく引退生活を手に入れられた事例をご紹介します。その主人公は測量・設計業の会社を経営していた川野隆宗氏(仮名)。同業他社への事業承継を実現し、一時は廃業まで考えたところから、最終的には従業員が安心して働ける環境を残すことができました。その一連の経緯をお話しいただきました。

突然のケガから引退へ。後継者問題を乗り越えた測量・設計業のM&A

突然のケガから後継者問題が表出

元々は会社員だった川野氏。農業をしていた父親が倒れたことをきっかけに勤めていた会社を退職し、資格を持っていた測量の仕事で創業しました。
「公益社団法人日本測量協会」に表彰されたほどの品質・技術を武器に会社は成長。事業分野も設計から地質調査まで着実に拡大していきました。

創業社長として長らく腕を振るってきた川野氏ですが、仕事中に不運な事故に巻き込まれます。命に別状はありませんでしたが、ケガにより現場に立てなくなり、年齢による体力の衰えも重なったことから引退を決意します。

「当初は、従業員の後継者候補に会社を任せたいと思っていました。しかし、(私が考えていた)後継者候補にはその意思がなく、引き継ぎの計画は頓挫。親族にも会社を継ぐ意志がないか相談しましたが誰も手を挙げず……」(川野氏)

予期せぬ後継者問題が表出し、それに頭を抱える日々が始まります。取引先の銀行に相談したところM&Aを提案されましたが、紹介されたM&Aの仲介業者は大企業が主要顧客であり、手数料や報酬が高額だったため断念せざるを得ませんでした。

「もはや廃業もやむなし」という苦境に追い込まれましたが、そこで転機が訪れます。

「顧問の会計士からオンデックさんを紹介してもらいました。恥ずかしながら、中小企業のM&Aでもしっかり支援してくれる仲介業者があることを、それまで知らなかった。内部から後継者を探すのは難しいのは明白でしたから、すぐにオンデックさんに依頼しました。振り返ってみると、オンデックさんとの出会いがM&A成功の大きな要因ですね。とても親切に対応してくれましたから」(川野氏)

ケガで廃業を検討したがM&Aでハッピーリタイア

残される従業員を第一に。その一貫した姿勢が成功にを生んだ

後継者問題に対し「M&Aは関係各社や各人が幸せになれる最良の手段だと感じた」という川野氏。結果として今、残った従業員も安心して働き続けることができ、譲受企業も成長し、川野氏自身も安心して暮らせています。最高の事業承継を実現できた理由、それは川野氏の一貫した姿勢にありました。

「これまでと同じ条件で従業員を継続雇用してくれることは絶対条件でした。会社の業績が良い状態での譲渡だったこともあって、複数の企業が候補に名乗り出てくれましたが、継続雇用を約束できない企業は全てお断りしました」(川野氏)

川野氏は候補先の事業内容にもこだわりました。自社の事業領域である測量や建設コンサルティング、地質調査などをカバーできる会社であれば、従業員の仕事を確保できて安心だろうと考えたからです。

「もちろん金額面も判断基準のひとつでしたが、譲渡の条件は従業員を第一に考えて検討しました。長期的に従業員の雇用を守ってくれることに軸足を置いたことで、交渉が複雑にならなかったのが良かったと思います」(川野氏)

そうして選んだ譲受企業は、営業エリア拡大を目指す土木・建築業界の企業。川野氏が築いた事業をしっかり受け継ぎ、M&Aから一年ほど経っても継続して安定した受注が取れているそうです。

「譲渡した後の経営についてはノータッチなので詳細はわかりませんが、会社が良い状態と聞いていて、ホッとしています。私自身も、妻と二人で農業をやったり、旅行に行ったりと穏やかに暮らせている。後継者が見つからないときは本当に不安でしたが、無事にM&Aができて本当に良かったと思います」(川野氏)

当時を思い返しながら「もし廃業していたら、私自身だけでなく、従業員も取引先も皆が不幸になっていたかもしれない」という川野氏。最後に「私と同じように、後継者問題を抱えている経営者の方はM&Aを検討すべき。従業員の将来を考えているなら、業績が良い時ほど判断を先延ばしせずに第一歩を踏み出すことが大切だと思います」(川野氏)と話してくれました。

COMMENT
オンデックからのコメント

本件におけるM&A成功のポイントは2つあります。1つは「従業員の継続雇用」を一貫して重視したこと。もう1つは「譲渡後の姿勢」です。前オーナーとして会社の状況が気になることも多々あったと思いますが、川野氏は譲受企業にすべてを一任。その信頼関係から企業の統合は円滑に進んでいるようです。
 
譲渡企業の従業員、譲受企業、経営者だった川野氏の三者がまさに「三方良し」となったM&A。この事例のように、後継者問題の解決にあたって事業承継は素晴らしい選択肢の一つとなりえます。M&Aに興味関心を持たれたらオンデックまで気軽にご相談ください。