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M&Aガイド

【M&Aの手順と詳細】④ シナジーを生める会社とは? 譲受(買収)企業の選定

M&Aの手順と詳細_買収企業の選定

さて、アドバイザーと契約を締結し、事業評価を終えたら、次は譲受企業の選定の工程に入ります。
ただ、選定といっても、そもそも自社に関心を持つ会社が現れることが前提となります。

譲受候補先のリストアップ

その第一段階として、まずは候補先のリストアップを行います。経験豊富なM&Aアドバイザーであれば、どういった企業が自社に強い関心を示し、かつ高く評価するかといったアイデアは持ち合わせているはずです。一方、経営者の立場からはまた考えがあるでしょう。双方の考えを刷り合わせた上で、まずは候補先を挙げていきます。その中での優先順位を決めることも、場合によっては必要となるでしょう。

一方、リストアップ先以外への打診の可否についても決定することが望ましいと考えられます。思いもよらない会社が関心を持ち、かつ高く評価するという事例も往々にして存在します。
アドバイザーが提携している金融機関等にノンネームシート(後述)を渡し、その金融機関の判断で取引先に打診する、といった形などがあります。

譲受候補企業への打診

第二段階としては、候補企業に打診を行っていきます。初期的な打診は、自社が特定できる情報を伏せた、いわゆるノンネームシートで行うことが一般的です。そこで関心を持った会社には、秘密保持契約を締結した上で、より詳細な資料を開示していくこととなります。

本格的に検討を進める企業とは、Q&Aのやり取りを行ったり、面談を行ったりといった工程に進むこととなります。それは先方が自社を見極めるだけでなく、自社にとっても先方を見極める機会です。
自社の強みを本当に理解してくれているか、自社の従業員や取引先を尊重してくれるのか、遠慮なく確認すべき、大変重要な機会です。

譲受候補企業からの意向表明書提出

第三段階としては、候補企業から意向表明書が提出されます。その中では、譲渡金額、譲渡後の運営、引継ぎ期間などについて、候補企業の考えが記載されていることが一般的です。法的拘束力はない旨、併せて記載されていることが大半ですが、実際のケースでは、この意向表明書を踏まえた最終契約が締結されることが殆どです。
これまでの先方とのやり取りでうけた先方の印象、信頼できる相手かということと、意向表明書の内容を併せて検討する必要があります。アドバイザーとも入念に相談し、どの候補先を選定するか判断する、非常に大事なステップとなります。

文=小岩井雄智(弊社コンサルタント)