成約インタビュー INTERVIEW
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製造業

廃業準備から一転、満足なリタイアにつながったメッキ業のM&A

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買収企業
業種
製造業
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M&Aの目的
後継者問題の解決
事業拡大

経営者として引退を意識した時、後継者がいなければ廃業を考えるのはやむないことでしょう。武内弘助氏(仮名)も後継者のあてがなく、自身が営むメッキ加工の会社について廃業するべく早くから準備を進めていました。しかし、最終的にはM&Aによって譲渡を実行するに至ります。なぜ、彼は廃業ではなくM&Aを選んだのか? その経緯と理由をインタビューしました。

廃業でなくて良かった。誰も悲しまない選択肢となったメッキ業のM&A

10年前から廃業に向けて準備はしていた

話を伺ったのは、武内メッキ工業(仮名)を経営する弘助氏と、総務・経理を担当していた妻の敏美氏(仮名)。M&Aが成約した後の二人からは、穏やかな空気が漂っていました。

「働いていた時はいつも、時計を見ながら仕事に追われて、のんびり過ごすことなんてできませんでした。今は時間ができて、やりたいことがいっぱい浮かんでくる。贅沢な気分です」(敏美氏)

そう言って微笑み合う武内夫妻。武内メッキ工業のM&Aについてお聞きすると「はじめは廃業を検討していたけれど、M&Aにして良かった」と振り返ります。

武内メッキ工業は、弘助氏の父親が創業。2005年に息子である弘助氏が会社を引き継ぎました。しかし、そのわずか4年後に起きたリーマンショックをきっかけに、弘助氏は自身がリタイアするときのことまで考えるようになったそうです。

「当時、私は50代半ば。仮に将来、後継者が見つからなければ会社を廃業するつもりでした。ですがメッキ業の場合、廃業するには高額な費用がかかるんです。土壌汚染の調査なども必要ですし、仮に土壌汚染があれば、費用はもっとかかってしまう。だから、廃業するにしても会社としてある程度の余剰資金を持っていないと廃業すらできないという意識でした」(弘助氏)

廃業するにも費用が必要だったことから、設備投資なども含め、10年以上の長期的な経営計画を考えていたと語る弘助氏。さらに武内メッキ工業があるエリアでは、製造業は年々少なくなっており、仕事の需要も減少傾向だったといいます。そうした背景も重なり、廃業するなら今から取り組まないと立ち行かなくなると考えて、早期から準備を進めていました。

「また、ここ5年くらいは、廃業するときに従業員が多いと大変だろうと思って、雇用も10数人程度に留めていましたね。(M&A時点では)正社員は2人、残りはパートと派遣という状態で。廃業前提の考えでしたね」(弘助氏)

そして後継者不足のまま時は過ぎ、いよいよ弘助氏はリタイアを決意。65歳となる年を目処に廃業することにしました。ここまでは弘助氏が想定していたとおりの流れ。しかし、取引先の銀行にM&Aを提案されたことで、予想外の展開を迎えることになったそうです。

廃業でなくて良かった。誰も悲しまない選択肢となったメッキ業のM&A

得意先も従業員も困らない、誰も悲しまない選択肢

「M&A自体は知っていましたが、うちのような中小企業でもできるとは思っていませんでした。それで銀行から話を聞いて、オンデックさんを紹介してもらいました。もし良い条件で譲渡できるなら、廃業ではなくM&Aをしてみようと思ったんです」(弘助氏)

武内夫妻は、誰かが経営を引き継いでくれるのならと、リタイアの選択肢のひとつとしてM&Aを検討することに。ただし、条件が折り合わなければ廃業しようと、期間を限定したうえでM&Aの検討を始めました。

「廃業の場合、お金だけでなく時間も労力も掛かります。すごくエネルギーを使うことなので、(仮にM&Aがうまくいかず廃業することになっても)自分たちが元気に動けるうちにしたかった。だから、1年以内に成約できることをM&A検討の条件として、オンデックさんにお願いしました」(弘助氏)

期限は設定したものの、従業員の雇用と、得意先との取引を継続すること以外、条件には強くこだわりませんでした。譲渡金額も高望みはせずに「会社の純資産を下回らない額」と定めます。

そうして候補先を探した結果、関心を表す会社の中から、提示した条件を受け入れてくれた会社とのM&Aを決断します。1年というシビアな期限の中で自社を譲り受けてくれる会社が見つかるのだろうかという気持ちはあったそうですが、無事に譲渡を行うことができ、弘助氏も敏美氏も本当に安心したそう。

「M&Aができて、得意先に迷惑をかけなくて本当によかったなと。今思えば、廃業となれば周囲に与える影響は大きかったと思います。廃業していたらどうなっていたのか。あちこちにあやまりに回っていたかもしれない。M&Aのおかげで、従業員の雇用も継続されましたし、誰も悲しまずに済んだのかなと思います」(弘助氏)

肩の荷が下りたこともあってか、柔らかな表情で語る弘助氏。「今の生活があるのはM&Aを選んだから。期限を決めて臨んだのでオンデックさんは大変だったでしょうが、よくここまでやってくれたなと感じます」と振り返ります。
最後に、廃業かM&Aかで悩む経営者へのメッセージを求めると「条件や譲渡額にこだわりすぎないことが大切だと思う」と答えてくれました。

COMMENT
オンデックからのコメント

本件の特徴は、武内氏が廃業を見据えた経営をしてきたことでしょう。廃業するために借入などを積極的に行わず資本を貯めていたことや、「M&Aが期間内にうまく行かなければ廃業しよう」と考えて条件に強くこだわらなかったことが、結果的にM&Aの成功につながりました。
 
M&Aによって、企業の歴史や伝統が続くことはもちろん、取引先や従業員との関係も継続できます。弊社としては廃業ではなくM&Aをぜひとも検討いただきたいです。廃業を検討されている方は、まずはオンデックに気軽にご相談ください。より素晴らしい選択肢を提示できるよう尽力いたします。