成約インタビュー INTERVIEW
譲渡企業インタビュー
製造業

ネガティブ情報も積極開示して成功を収めた水処理設備製造業のM&A

譲渡企業
買収企業
業種
総合水処理設備製造、保守
総合水処理設備エンジニアリング
売上
約1億円
約20億円
M&Aの目的
後継者問題の解決
従業員の雇用継続
人財とノウハウの獲得
顧客基盤の拡大

従業員の継続雇用と、社名・ブランドを残すことへの想い。

会社の事業内容や特徴をお教えください

経営者様:

弊社は、水処理設備の製造、保守等、水処理関連の事業を展開していて、営業、設計、工事、管理、保守までを一貫して行える点が特徴と言えます。これは、弊社に経験豊富な人材が揃っていて、且つ各社員が最後まで責任を持って仕事をしてくれているので成り立っています。

そのような優秀な従業員の方々がいらっしゃる中で、今回M&Aという形で次のステップに踏み出されたわけですが、M&Aをしようと決断されたきっかけとして、どういう経緯があったのでしょうか。

経営者様:

M&Aを検討したのは、いくつかの要因がありました。まずは、後継者がいませんでした。最初は社内で育成しようと、後継者を想定した人材を確保しましたが、思うように育成することができませんでした。次に、周囲にも相談しながら、外部から人材を招聘することも検討したんですが、上手くいきませんでした。それで、M&Aを考え始めました。

最終的にM&Aを決断されたのは、どのような理由だったのでしょうか。

経営者様:
将来を考えた時に、従業員の継続雇用を最優先にしていかないといけないということが念頭にありました。小さい会社ながらも、従業員とその家族がおりますので、将来に不安のある環境ではなく、安定した環境で生活ができるようにしないといけないということも考えていました。
もう一つ大事にしていたことがあります。それは社名・ブランドを残したい、という想いでした。やはり創業50年以上の会社ですので、多くの顧客がおります。大小規模を問わず、すばらしい企業・人が多くおられ、そのような方々に迷惑をかけてはいけない、ということもありました。この先も社員自身が50年以上の実績を背に、これまでやってきたことを自信をもってやっていってくれたら良いな、という想いもあって社名を残したいと思っていました。
あと、経営陣の体力と健康面。経営陣も高齢になってきて、不安も出てきました。であれば、元気なうちにM&Aをやっておかないといかん、と考えました。最後は、事業引継ぎ支援センターに相談に行き、社内の事情などをざっくばらんにお話させてもらったら、最良の策がM&Aじゃないかな、という方向性が出てきました。そこから数社の仲介会社様を紹介してもらって検討した結果、オンデックさんに協力してもらってM&Aを実施する、という結論に至ったわけです。

担当者を信用しようと覚悟を決め、ネガティブ事項も積極開示へ。

なぜオンデックにご依頼をいただけたのでしょうか、そして実際の印象はいかがでしょうか。

経営者様:

最初に複数社と面談をさせて頂いて、オンデックさんにも会社の説明などをして頂きました。他の仲介会社さんとも面談させて頂き、親切にお話をいただいたんですけれども、オンデックさんのお話が、一番現実的で信用出来、しっかりと担当いただけるんじゃないかという気持ちになったんです。我々もこんな経験は初めてですし、相手を信用せざるを得ないんですよ。やはり人柄だったり、話の内容を聞いたうえで、この人を信用しようと覚悟を決めたわけです。そして、本当にちゃんとやっていただけたので感謝しかないですね。

重大な意思決定後に、M&Aを進めていったわけですが、成功の秘訣は何だったのでしょうか?

経営者様:

やはりオンデックさんが本当に誠心誠意、順序立てて計画的に物事を進めてくれたことに尽きると思います。私たちは、まず経営と株式が分離しておりましたから、そのあたりの株の整理を先にしないといけないと、アドバイスを受けました。その整理にはだいぶ時間がかかりました。オンデックさんにも、ずいぶんご苦労をかけたこともありますね。結局、クロージングまでは、合計2年くらいかかりました。

オンデック担当:

最初時間がかかりましたよね、通常の案件よりもスタートを切るのに半年以上時間がかかってしまいました。普通そういう提案をしたら嫌がられる方もいますし、早く相手を紹介してほしいと言われることが多いです。
ただ、これをしっかり整理しないと、そのうちに結局詰まってしまうということをご理解いただいて、順序立てて進めていけたということがよかったですね。何より我々が提案したスケジュールを守って、信頼して任せていただけたということが、とても進めやすかったですね。こういう話を進めていると焦る気持ちがあるのは、よくわかるのですが。

実際に譲渡を決断された時に、従業員の雇用のことも大変気にかけていらっしゃいましたが、譲れない条件としてはどのような項目があったのでしょうか。

経営者様:

買収企業様には事前にこちらの想いは伝わっていたので、従業員の雇用は継続をしていくことや社名も残していく、という条件は決まっていました。他に強く要望する条件というのはなかったですね。おかげさまで、従業員の皆はこれまでと同じで一生懸命に仕事をしてくれています。ただ、この先は、従業員の働きぶりでどうなっていくか、自分たちの責任になりますけどね(笑)

導入実績と保守能力、そこに営業力が加わり強力なシナジーへ

新しい体制になったことで、今後どのようなシナジーが生まれて、どんな発展をしていくのか、イメージなどはありますか?

経営者様:

自社が設備を納入した顧客については、納入後の長きに亘りメンテナンスの仕事が継続することが通例です。買収側もこの領域を伸ばしていきたいという意向があると聞いているので、そのあたりは魅力があったと思いますし、効果が出てくると思います。

オンデック担当:

買収側は、明確にイメージを持っています。自社よりも歴史があって、相当数の設備を各工場に導入をしてきているが、営業が対応しきれなかった顧客に、営業力のある買収側がアプローチをして既存顧客の掘り起こしが可能だろう、と考えています。
自分たちが同業界で競合としてやってきたからこそわかる、譲渡企業の顧客基盤と過去の導入実績は価値があると判断しています。

少しでもM&Aが選択肢として頭にあるのであれば、まずは相談へ。

最後に、今、後継者問題などを抱えている経営者様に対して、M&Aをご経験された立場から何かメッセージをいただけますか?

経営者様:

M&Aというのは、以前から頭にはありましたが、いざとなると、なかなか一歩が踏み出せませんでした。それでズルズルとそのままの状態で時間が経過してしまう、ということもあると思います。一生懸命考えても、あまり状況は変わりません。もしも、少しでもM&Aが選択肢として頭にあるのであれば、どこでもよいので相談をしてみると、早く解決すると思います。

COMMENT
オンデックからのコメント

セミナーなどで譲渡人様に対して「M&Aを進める上では、早い段階で『ネガティブ事項』を積極的に開示しましょう」などとお話させていただいておりますが、実際のところ、これを実践できない方も少なからずいらっしゃいます。

しかし、今回はこの点、会社の将来的な見通しが厳しいことを含め、一見するとネガティブと思える情報も包み隠すことなく、ご開示いただきました。例えば、買収側との初めての顔合わせ(トップ面談)の中で、先方から「長年の事業活動を通じて築き上げてこられた貴社の既存のお客様に対する営業を強化したい」とのお話がありましたが、これに対しては、「中には疎遠になっているお客様も少なくはなく、加えて、商社やエンジニアリング会社を介して販売・納品したお客様も一定数おられるため、顧客の掘り起こしも簡単な作業ではないと思われる」と非常に現実的なお話をしていただいたことが印象的です。

このように、誠実な対応をされたことも、成功要因の一つだったと思います。結果として、この真摯な姿勢が買収側の信頼獲得につながり、成約に至ったのではないかと思います。
今回は、最後まで弊社を信じていただき、ありがとうございました。