成約事例

取引先との関係を重視。独立性維持のため異業種へ譲渡したゴム製品卸売業のM&A

譲渡企業
買収企業
業界
卸売業
M&Aの目的
後継者問題の解決
経営基盤の強化
※ 顧客の匿名性を担保するために、一部の事実情報を編集しています

譲渡側の概要

産業資材向けのゴム製品を販売するA社。大手メーカーへの企画営業を主力事業としていた。同社の強みは2点。1点目は商品開発力。仕入れ先であるメーカーと緊密に連携し、顧客ニーズに沿った製品を共同開発できる体制にあった。

2点目はゴム製品を扱うノウハウの高さ。それに裏打ちされた提案だけでなく、その分野の専門家としての評価を確立していた。これらによって、A社は得意先からの信頼を獲得。安定した受注を確保できていた。

譲渡側の課題

A社の課題は、後継者の不在であった。X社長は既に引退を検討する年齢に達していた中で、体力の衰えを実感。一方で親族は承継の意思はなく、社内にも経営という観点からの適任者は見当たらなかった。

ただ、「従業員の雇用を守ることはもちろん、仕入れ先と顧客に迷惑をかけるわけにはいかない」と考えていたX社長にとって、廃業という選択肢は頭になかった。一方で「家族のため、気力があるうちに自身の財産を整理しておきたい」という思いもあり、A社のM&Aを志向するようになった。

オンデックとの出会い

M&Aに向けて動き出したX社長は、地域の事業承継・引継ぎ支援センターに相談した。複数の支援業者を紹介されたが、その中で最も「自社に適した買収企業を見つけてくれそう」とネットワーク力に魅力を感じたオンデックにM&A支援を依頼。豊富な支援実績を有する点もオンデックを選んだ理由であった。

譲渡先を選定する上で、X社長は「従業員の雇用・処遇維持」「社名の継続」「得意先との取引継続」を条件として提示。

最終的にA社を買収したのは、異業種であるB社。当初X社長はゴム製品に関する知識を有する企業を望んでいたが、「異業種ゆえにA社の独立性を担保できること」を理由とし、B社に譲渡する意向を固めた。

買収側の概要

B社は、本業とは別に、M&Aによる事業の承継を積極的に行ってきた。後継者問題の解決によって社会的意義を果たすと同時に、事業の多角化によるリスクヘッジを企図。収益率が高い中小企業の買収を推進していくことにより、経営基盤の強化を行っていた。

以前オンデック経由での別会社の買収実績を有していたB社は、A社のM&Aにも興味を示した。従業員が数名でありながら収益力が高く、自走できる点を評価。加えて「リソースやノウハウの共有などの営業支援をすれば、さらなる売上拡大も見込むことができる」と考えたことが、A社を買収した理由であった。

課題解決・シナジー

A社は、B社の傘下に入ったことで後継者問題が解決。懸念であった顧客や仕入先との関係も良好で、これまで同様に商品開発力や高いノウハウという強みを活かし、取引が継続されている。

また、B社から派遣された役員のもと運営体制が刷新されたことで、社内風土も一変した。これまでより新しいことに挑戦しやすい環境となり、従業員のモチベーションが向上。新規顧客の獲得にも繋がったことで、販売先の多角化が期待されている。

対するB社は、異業種であるA社がグループインすることで経営基盤が強化。さらなる成長に向けた土台づくりに成功した。

COMMENT
オンデックからのコメント

顧客と仕入先との関係性に配慮して、M&Aを検討する経営者は少なくありません。そうなると重要なのは、相手企業の選定です。買収企業との関係次第では従来の取引関係が損なわれるリスクがあるため、譲渡先は慎重に選ぶ必要があります。

本件で、A社が良縁を掴めた大きな要因は、X社長が当初のイメージに固執せず、「このM&Aで解決したい課題とは何か?」を追求し、本質的な条件を絞り込んだことが成功のポイントとなりました。

オンデックでは、経営者の皆様の要望を丁寧にヒアリングし、最適なM&A支援を徹底しています。後継者問題にお悩みなら、ぜひオンデックにご相談ください。