成約事例

取引先同士の信頼関係が結実した鋼材卸売業のM&A

譲渡企業
買収企業
業界
建設業
卸売業
M&Aの目的
後継者問題の解決
経営基盤の強化
事業の拡大
※ 顧客の匿名性を担保するために、一部の事実情報を編集しています

譲渡側の概要

A社は鉄骨工事業を営み、自ら元請けとなるとともに地場ゼネコンの一次下請け企業として、住宅・ビル・倉庫・工場などの施工を行っていた。

同社は複数の工場を有するなど某県内で屈指の設備を誇り、また、国土交通大臣認定を受けた県内では数少ない事業者として優位なポジショニングを有していた。そのため顧客との交渉力も比較的強く、受注も安定していた。

譲渡側の課題

A社の課題は2つあった。

第一に、後継者が不在だったこと。代表のX氏は50代と比較的若かったが、親族内にはA社を承継する意思を持つ人がおらず、従業員にも経営ノウハウを持つ適任者がいないことに危機感を覚えていた。

第二に、設備投資の負担が今後増えることが見込まれていたこと。鉄骨工事業を含む建築業は、少子高齢化や労働規制の強化により職人不足が深刻化している。そのため今後、省人化・無人化に向けた継続的な設備投資が必要であった。また近年、鉄骨工事業は規模の大きな企業への集約が進んでおり、競合に対抗しうる設備投資をA社単独で実行するには不安があった。

このような課題を認識していたX氏は、かねてから取引関係のある鋼材卸売業・B社の代表Y氏に相談。その中で、M&Aを視野に、まず提携関係の構築を画策。A社の顧客を徐々にB社に引継ぎ、B社を通じてA社が工事を受注する商流に変更。また、外注先もB社に引き継ぐなど、事業承継に向けた下地作りを進めた。

オンデックとの出会い

X氏とY氏は数年にわたって議論を重ね、B社がA社をM&Aで買収し事業承継するのが最適解であるとの意見で一致。ただし、スキームの検討や具体的な条件の調整については、専門家に任せたほうが適切であると判断した。

B社は過去、取引のある士業事務所から信頼のできるアドバイザーとして紹介を受けていたオンデックへと支援を求めた。

買収側の概要

B社は鋼材卸売業を営み、鋼板や土木用鋼材など多種多様な商品を扱っている。西日本を営業基盤に持ちつつ、M&Aを足がかりに東日本にも進出するなど営業エリアを拡大。また、グループ会社では鋼材の加工も手掛けるなど事業を拡大していた。

B社はさらなる業容拡大のため、鋼材の卸のみならず、商流の川下である施工へも進出を企図していた。

B社はA社の近隣にも営業所を構えており、A社に鋼材を販売するとともに、自社新工場の工事を発注したこともあった。販売先および外注先としてすでに信頼関係を有していたことから、A社を買収することは理に適っており、M&A実施の判断にいたった。

課題解決・シナジー

A社はB社の傘下に入ることで後継者問題が解決しただけでなく、B社の充実した資本力によって継続的な設備投資の見通しが立ち、成長軌道に乗った。X氏はA社顧問として、引き続き人材育成などにあたっている。

B社は施工部門を獲得したことで、さらなる業容拡大の足がかりを得ることができた。

COMMENT
オンデックからのコメント

本件は、取引関係にある企業同士がお互いを最適なパートナーとして選んだ後に、オンデックがデューデリジェンスや条件交渉の支援を任された事例です。

すでに取引関係がある場合はシナジーを見出しやすく、経営者間にも一定の信頼関係が存在することから、譲渡先・買収先として適している場合が多いといえます。

ただし、長年の付き合いゆえに踏み込んだデューデリジェンスや条件交渉が困難になる可能性もあります。そのためトップ同士の交渉とは別に、実務的な調整はM&A支援会社を仲介者として活用するとスムーズです。

オンデックはM&Aのプロの視点で買収企業と譲渡企業それぞれの論点を適切に整理し、成約までの道のりを伴走します。本件のようにマッチング後の対応からでも支援できますので、お気軽にご相談ください。