譲渡企業の概要
関西圏で保険代理店業を営むA社は、創業以来、右肩上がりに成長してきた。積極的に個人代理店を吸収合併することで、締結済みの保険契約と優秀な人材を獲得。事業エリアの拡大と安定した運用体制の構築を両立してきた。
個人代理店の吸収合併によって経営基盤を整えてきたA社だが、高品質なサービスも強みであった。営業担当者から事務員まで従業員は金融商品に精通。顧客満足度は非常に高く、損害保険の既存顧客の継続率は9割以上に達し、紹介による新規顧客も後を立たなかった。
加えて、優れた業績から保険会社の代理店認定制度において最上ランクを獲得。最上位店としての高い手数料率と、優良な顧客基盤によって、利益率の高いビジネスモデルを確立していた。

譲渡企業の課題
A社の課題は2つあった。1つ目はリーダー不足。管理職を担える人材も少なく、事業拡大を目指すためには次期リーダーの確保と育成が求められていた。
2つ目は後継者の不在。X社長は50代後半であったが、早期リタイアを視野に入れていた。しかし、親族内に事業を承継できる人材は見当たらず、社内にも経営ノウハウを持つ適任者はいなかった。
オンデックとの出会い
新規事業や地域活性化など挑戦したい夢を抱えていたX社長は、60歳でのリタイアを選択。個人代理店の吸収合併を実施してきた経験から、M&Aによる株式譲渡を決意した。
さっそく大手M&A支援会社に仲介を依頼したが、事業規模を理由に引き受けてもらえなかった。そこでX社長は取引のある金融機関に相談。紹介されたオンデックの誠実な姿勢と優れた提案力に感銘を受け、M&Aの仲介を依頼するに至った。
事業の成長とそのための独立性の維持を最優先し、買収先の条件としては「従業員の雇用・処遇維持」と「保険代理店業も営む他業種の企業」を掲げた。
そうして買収先に選んだのは、燃料小売業を主領域とするB社。保険営業と好相性な事業を展開しており、両社間の事業面での高いシナジー効果を期待できることが譲渡の決め手となった。
買収企業の概要
B社は関西圏を中心に複数のガソリンスタンドを運営していた。車検や自動車の売買など、周辺領域も含む幅広い事業を地域密着で展開し、地元客のニーズに応えることで信頼関係を構築。経営の多角化によって安定的な利益を獲得し、強固な経営基盤を有していた。
成長戦略の一環として保険代理店業の強化に取り組んでいたB社は、事業エリアの近いA社のM&Aに目をつけた。最上ランクの保険代理店のノウハウと、高い手数料率は大きな魅力であり、A社の買収に乗り出した。

シナジー
M&Aから間もなく、X社長の呼びかけによって両社には積極的な交流が発生。グループ間の受発注による、資金効率の向上やコスト削減が始まっている。加えて、B社の顧客への営業機会や人材獲得・育成の協働などを模索しており、さらなる事業拡大が期待されている。
対するB社は、A社と保険代理店業のノウハウを交換したり、新車販売部で取り扱う車をA社の顧客に対して営業したりと、シナジー効果を発揮。早くも成長の兆しが見え始めている。
なお、X社長は目標であった売上高をB社とのM&Aを通じて達成。業務の引き継ぎを図りながらリタイア後の準備も進め、公私ともにますます充実している。
「企業の結婚」と表現されるように、M&Aにおいて、お相手選びは非常に重要です。好相性のお相手と一緒になることができれば、後継者問題の解決に留まらず、事業を大きく成長させることができます。
本件のポイントは、X社長がM&Aを「成長のチャンス」と前向きに捉えたことです。シナジー効果を得られるパートナーを望み、買収先のイメージを具体化したことがM&Aの成功要因となりました。
オンデックでは、M&Aによる経営課題の解決を支援しています。後継者問題を始めとする経営課題にお悩みでしたら、気兼ねなくオンデックまでご相談ください。