成約事例

買収企業のリソース活用。結婚相談所と上場企業の成長支援型M&A

譲渡企業
買収企業
業界
サービス業
金融コンサルティング業
M&Aの目的
経営基盤の強化
事業拡大
※ 顧客の匿名性を担保するために、一部の事実情報を編集しています

譲渡側の概要

A社は大手結婚相談所の正規加盟店として、仲人紹介型の結婚相談所を運営していた。

結婚相談所の市場は、圧倒的な会員データベースを有する大手企業数社と、そのデータベースを利用しながら自社の独自会員も集める中規模以下の結婚相談所、いわゆる「加盟店」からなっており、A社はその「加盟店」のひとつだった。

A社は創業以来、SNSやブログを活用した積極的な情報発信と的確なサポートによる高い成婚率で支持を広げ、会員数は創業から数年で数百人規模まで拡大していた。

業務においては「仲人の主観の押しつけではなく、会員の選択をサポートする」という理念のもと、客観的データを元に計画的なアドバイスを提供。結婚相談所の市場において独自の立ち位置を確立するに至った。

このような取り組みの結果、大手結婚相談所に加盟する相談所数千社の中で成婚数トップ10にランクインするなど、順調に成長を遂げていた。

譲渡側の課題

A社は個人事業を起点に急成長を遂げたため、経営・実務の両面にわたって代表のX氏が大きな役割を担っており、それを原因とする3つの課題を抱えていた。

第一に、マーケティングや広告流入の強化が必要だったこと。A社はX氏の知見を生かしたブログ・SNSによる集客は得意であった一方、オンライン広告などを十分に実施できていなかった。オンライン広告はこれから婚活を始めるライト層への訴求に有効な手段であり、会員数拡大のために強化すべきであった。

第二に、会社規模の小ささもあり、オフラインの集客チャネルを持っていなかったこと。大手結婚相談所の集客のメインは婚活パーティーなどであり、結婚相談所として規模の拡大を狙う上では用意すべきチャネルであった。

第三に、人事部門の整備が進んでおらず、人事制度や採用のためのリソースを欠いていたこと。

こうした課題に対しコンサルティング会社を活用して解決を試みたこともあったが、大きな成果を得ることはできなかった。

このような状況から、X氏は今以上の成長を期するには起爆剤となる要素が必要であると考え、M&Aを通じて、各種ノウハウを持つ企業グループへの参画を検討するようになった。

オンデックとの出会い

X氏は成長を目的としたM&Aについて顧問税理士に相談。丁寧な支援に定評あるオンデックを紹介された。

オンデックのコンサルタントと相談の上、希望条件として「A社の成長へのコミット」「X氏の経営陣としての残留」「顧客第一主義というA社の理念への理解」を決定。

A社の成長性を評価し支援してくれる買収企業の探索が始まった。

買収側の概要

A社を買収することになったB社は東証に上場している、一般個人を対象に金融コンサルティングサービスを手掛ける企業。

保険代理店業を軸に、金融商品、住宅ローン、不動産仲介の取り扱いに進出し、資産形成のサポートから金融商品の販売までワンストップで提供できる体制を構築していた。

B社は、業務提携する大手クレジットカード会社など数十社から送客を受けて顧客を獲得していたが、集客手段の一層の充実のため、自社の金融コンサルティングサービスに相性の良い集客チャネル・事業を買収することを模索していた。

個人の金融コンサルティング需要が発生するのは、結婚・出産・住宅取得といったライフイベント発生時が多く、そのため、人生における初期的なライフイベントで顧客接点を持てる事業が対象として想定された。加えて、資産形成や資金計画をコンサルするというサービスの性質上、見込み客と深い信頼関係を築けていれば理想的であった。

A社の事業はさまざまなライフイベントの起点となる「結婚」についてのサービスであり、「会員の選択をサポートする」という同社の理念もあって顧客と深い信頼関係を築いていた。B社が想定していた買収対象として理想的であり、A社買収を採択した。

課題解決・シナジー

A社とB社は共催セミナーの運営を開始。結婚直前・直後のA社会員に対して資産形成や保険に関わる情報を提供することで、B社サービスへの送客に取り組んでいる。さらに今後、B社資本のもと、A社のマーケティング強化が図られていくことが決まっている。

A社も、B社のサービスを介して結婚後の元会員と接点を維持できるようになり、検討可能な施策の幅が広がっている。事業計画についてもB社経営陣とともに再検討を行い、より精緻なロードマップを構築した。

組織面でも、A社はB社の支援を受け採用力が強化された。人事評価制度や給与体系などもB社の支援のもとで整備が進んでいる。一方のB社は、事業規模が異なるA社の業務をB社社員が支援することによる、社員個々の成長が期待されており、人材育成の観点でも手応えを得ている。

COMMENT
オンデックからのコメント

成長著しい譲渡企業が、買収企業のリソースを活用してさらなる成長を企図する「成長支援型」のM&Aの好例となる案件でした。

成長支援型M&Aは、買収企業・譲渡企業の双方が互いのビジネスを深く理解し、信頼関係を築くことが重要です。本件では、「顧客第一主義」という両社の理念が合致したこと、買収企業のB社がDD時点からA社の事業計画再構築に協力するなど、積極的な支援の姿勢を見せたことが決め手になりました。

オンデックのコンサルタントは、成長支援型M&Aに関する豊富な知見を有しています。成長戦略としてのM&Aに関心をお持ちなら、ぜひオンデックにご相談ください。