成約事例

企業理念への共感が決め手となった地域に根ざす調剤薬局のM&A

譲渡企業
買収企業
業界
小売業
小売業
M&Aの目的
後継者問題の解決
事業エリア拡大
※ 顧客の匿名性を担保するために、一部の事実情報を編集しています

譲渡側の概要

関東圏に所在するA社は、調剤薬局1店舗の運営を行っていた。眼科、内科に隣接する門前薬局で、薬局に訪れる患者数は安定していた。「地域医療への貢献」を理念に掲げ、患者に寄り添った丁寧なケアを徹底。両医院と患者からの信頼を獲得し、地域になくてはならない存在となっていた。

譲渡側の課題

A社は2つの課題を抱えていた。1つ目は人手不足。A社にはX社長しか薬剤師がおらず、求人しても人員が集まらなかった。高齢化の進行に伴ってオンラインや訪問による在宅診療のニーズが増していたが、人手不足からそれらへの対応が後手に回っていたのも問題であった。

2つ目は後継者の不在。X社長は70歳間近と高齢であったが、親族内に事業を承継できる人材がいなかった。また、A社の役員はX社長のみで、経営ノウハウを持つ適任者も見当たらなかった。

オンデックとの出会い

体調を崩したことをきっかけに自身のリタイアを決意したX社長は、事業承継を検討するようになった。同じく経営者であった親族がM&Aによる事業承継を実施していたこともあって、選択肢としてM&Aが真っ先に思い浮かんだ。

M&Aを実施するにあたり、X社長は個人として取引を行っている金融機関に相談。信頼できるM&A支援会社としてオンデックを紹介された。X社長は「提案書やプレゼンテーションが高品質で、納得感も高かった」と感心。オンデックに支援を依頼するに至る。

譲渡先の条件として掲げたのは「事業や地域医療に理解があり、強固な経営基盤を有していること」。中規模以上の薬局が理想であり、譲渡先には「在宅診療への対応など、地域医療に貢献してもらいたい」と望んでいた。

そうしてX社長が買収先に選んだのは同業のB社。患者を最優先とするB社の企業理念に共感したことが譲渡の決め手となった。

買収側の概要

買収に名乗り出たB社は、全国に100店舗以上の調剤薬局チェーンを展開する企業。人材の獲得や育成に注力しており、安定した運営基盤を確立していた。地域の医療機関などと協力体制を構築し、在宅診療にも積極的に対応。自社で運営する介護施設と連携することで、患者への総合的なサポートも提供していた。

地域医療への貢献を目指すB社は、対応エリアをM&Aを活用し拡大してきた。A社はB社が未進出のエリアに拠点を構えており、事業自体の伸び代も十分。B社にとっては魅力的な企業であり、A社の買収を決めることになる。

課題解決・シナジー

M&A後、A社は店舗の運営体制が一新された。B社から薬剤師が派遣され、B社の在庫管理・受発注システムが導入された。バックオフィス機能もデジタル化され、業務の効率化が図られた。在宅診療への対応にも着手し、さらなる成長が期待されている。

対するB社は、A社が傘下に加わったことで店舗エリアが拡大。理念に沿って地域医療への貢献度を高めながら、ドミナント戦略(特定の地域へ集中的に投資し、その地域での優位性を確保する)の強化によって、業績の向上を実現している。

そしてX社長は、M&A後の引継ぎ期間を経て退任。今は、療養を兼ねて、現役時代にできなかった旅行を楽しみながら英気を養っている。

COMMENT
オンデックからのコメント

育ててきた事業のさらなる成長を望むなら、譲渡先の条件に「企業理念の親和性」を掲げるのも一案です。志と成長の方向性が同じであるため、企業体質が似た傾向にあり、M&A後の融和も図りやすくなるでしょう。

本案件では、X社長が「経営基盤が強固な同業」を前提に企業理念が近しい譲渡先を選んだことで、スムーズな承継が実現できました。さらに、X社長がかねてより望んでいた在宅診療への対応も進み、地域医療への貢献度も高まりました。

オンデックでは、後継者問題をはじめとした経営課題をM&Aで解決してきた実績があります。M&Aによる課題解決を検討されているなら、お気軽にオンデックまでご相談ください。