成約事例

後継者問題を発端に経営基盤を強化できた建築設計業のM&A

譲渡企業
買収企業
業界
土木建築サービス業
土木建築サービス業
M&Aの目的
後継者問題の解決
事業の拡大
※ 顧客の匿名性を担保するために、一部の事実情報を編集しています

譲渡側の概要

設立から50年を超えるA社は、建築物の土台や柱・梁などの骨組み部分を設計する「構造設計」を営んでいた。一級建築士および構造設計一級建築士が複数在籍しており、鉄筋コンクリート造のビルや倉庫など、多様な建築物の設計を建設業者に提供。高品質ながらコストを抑えた“経済設計”を得意とし、取引先と強固な信頼関係を構築していた。

複数の大手ゼネコン(総合建設業者)と長年にわたって直接取引があり、得意先が求める要件や水準を熟知しているのも強みであった。案件の特性に応じた柔軟な対応が顧客から高く評価され、安定した経営基盤を有し事業は堅調であった。

譲渡側の課題

A社は3つの課題を抱えていた。1つ目は、繁忙期と閑散期の差が大きいこと。案件の状況によって従業員の稼働に余裕がある時期が散見されており、事業の成長には業務の平準化が求められていた。しかし、新規案件の獲得を担う人材が不足し、平準化は実現できていなかった。

2つ目は、経理や人事などの間接部門が設けられていなかったこと。請求書の発行や給与の振込をX社長が行うなど、事務管理体制が十分に整備されていなかった。事務のDX化に着手できておらず業務負荷が大きいことも問題であった。

そして3つ目は、後継者の不在。X社長は60歳を超えていたが、子供には事業承継の意思はなかった。従業員への承継も検討したが、経営ノウハウを持つ適任者は見当たらなかった。

オンデックとの出会い

後継者問題からA社の今後を懸念していたX社長であったが、偶然目にした地域の商工会議所の冊子からM&Aによる第三者承継について知った。「従業員と取引先のことを考えると、廃業せずに第三者承継を選ぶ方が良い」とX社長は考え、自身の引退の決断が迫られたタイミングで地域の事業承継・引継ぎ支援センターに相談した。

そうして同センターから紹介されたM&A支援会社3社の中から、オンデックに支援を依頼。「初回面談時から具体的な資料を用意しており、信頼できると感じた」ことが決め手であった。

X社長が譲渡先選定の条件として掲げたのは「従業員の雇用維持」と「得意先との取引継続」。加えて、シナジー効果を得ることができる建築業界の企業であることも重要視した。結果として、同じ建築設計の領域において、幅広い建築工程に対応するB社へ譲渡することを選択した。

買収側の概要

B社は、大手ゼネコンなどに技術者を派遣し、施工に必要な設計図面である「施工図」の提供を中心に事業を展開していた。特徴的なのは、M&Aにより事業の拡大を図ってきたこと。DX化によって建築の設計工程が統合されることを想定し、自社に部署がなかった設備設計を営む企業を買収するなど、戦略的に設計業務の幅を広げていた。

そんな折にオンデックからA社買収の提案を受けたB社は、「長年望んでいた構造設計への進出ができるチャンスであり、A社自体も成長の余地がある」と判断し、A社の買収に乗り出した。

課題解決・シナジー

B社の傘下に収まったA社は、後継者問題の解決に向け、採用力や経営管理体制が盤石なB社の協力のもと優秀な人材を獲得し、A社の経営を担うリーダーを育成する予定。また、B社が有するバックオフィス機能とDXのノウハウによって事業の効率化も見込まれているほか、B社を通じて案件の紹介・委託を受けることで業務の平準化を実現し、売上増も期待されている。

対するB社は、念願であった構造設計に進出。ワンストップでの設計業務の受託や、各社の知見を融和した新しい設計手法の開発など、グループ企業のバリューチェーンを活かした経営戦略でさらなる成長を目指している。

COMMENT
オンデックからのコメント

M&Aは後継者問題の解決だけでなく、事業の成長にも有効な手段となりえます。本件のポイントは、X社長が買収先のイメージを具体的に持てたことです。シナジー効果を得られるパートナー像が明確であったため、M&Aによる事業の拡大を図っていたB社とのwin-winな良縁を引き寄せることができました。

オンデックでは、M&Aによる経営課題の解決を支援しています。後継者問題にお悩みでしたら、気兼ねなくオンデックまでご相談ください。