譲渡企業の概要
家具・インテリアの販売を営んでいたA社には3つの強みがあった。1つ目は商品力で、長年の実績より多様なメーカーから大手販売店並みの仕入れ条件を獲得。取扱いメーカーに限りのある販売会社が多い中、リーズナブルな価格設定と豊富なラインナップで、顧客のニーズに柔軟に対応することができた。
2つ目はWEBマーケティングを活用した集客モデルで、毎月安定した集客を実現。購買意欲が高い富裕層の顧客も獲得できていた。
3つ目は在庫リスクの少なさ。家具・インテリアの売上には新生活シーズンをはじめとした季節性の変動要因があるが、A社は受注販売方式を採用し、安定した収益を確保していた。

譲渡企業の課題
A社は人材の確保が課題であった。即戦力となる熟練の販売員を積極的に採用してきた結果、近年は従業員の高齢化が加速。中期的には、組織の若返りが求められていた。さらに後継者の不在も問題であった。X社長は高齢であったが、親族内外に適任者が見当たらなかった。
また、顧客データの整備も不十分であった。蓄積した顧客リストを整理してデータとして活用できれば、既存顧客へのクロスセルなど新たなビジネスチャンスも見込まれていた。
オンデックとの出会い
近い将来の後継者問題に悩んでいたX社長は、M&Aを決意。取引先の金融機関から仲介業者を紹介してもらったが、コロナ禍による影響で、M&Aは不成立に終わった。
しかし、「後継者問題を解決するなら経営基盤の強化にも繋がるM&Aがベスト」との考えはその後も変わらず、X社長はM&Aに再チャレンジ。金融機関を通じてオンデックに仲介を依頼し、譲渡の条件には「従業員の雇用・待遇維持」と「事業拡大に積極的な事業者」を挙げた。
買収企業の概要
A社を買収したB社は、生命保険代理店業務や住宅ローンの取扱業務など多角的に事業を展開していた。人材確保・育成に積極的に取り組み、優秀な営業担当者を多く確保。効率的な営業体制を構築することで安定的に契約を獲得し、右肩上がりに成長を遂げてきた。
さらなる事業拡大を目指していたB社は、取引先の金融機関を通じてA社のM&A案件について知った。「A社の商品とB社の営業網を組み合わせれば、大きなシナジー効果を得られる」と考え、A社を買収することにした。

シナジー
A社は、B社の協力を得て人材確保に向けた採用力を強化。B社の人事制度や人材育成プログラムを導入することで、組織の若返りと活性化も期待できる。加えて、B社の住宅ローン審査対象者にA社が販売する商品の割引キャンペーンなどの集客施策を打つことで、新規顧客獲得も想定。B社開発の顧客管理システムを活用することで、既存顧客からの売上拡大も目論んでいる。
対するB社も、A社の商品割引を顧客インセンティブとして活用することで、契約数の増加を狙っており、A社のショールーム併設による住宅ローンショップへの集客力向上も期待している。
M&Aは、人材獲得においても有効な手段のひとつ。互いの従業員だけでなく、両者が持つ人材採用・育成の制度やノウハウを共有することで、組織の活性化に繋がります。本件でも、A社は事業面に加えて人材採用・育成面でもシナジー効果の恩恵を得ることができました。
オンデックでは、後継者問題から人材確保まで、M&Aによって多様な課題を解決してきた実績がございます。M&Aを検討中でしたら、ぜひお気軽にご相談ください。