譲渡側の概要
A社は介護施設の清掃業務を中心に行うビルメンテナンス業者であった。業歴が長く、元請として受注する案件が全体業務の8割であり、安定した顧客基盤を有していた。
譲渡側の課題
ビルメンテナンス業界の人手不足は深刻であり、A社も例外ではなく、特に清掃スタッフの人材確保を常に課題として抱えていた。また、行政による最低賃金の引上げが実施されたため直近の収益は悪化。当面この傾向が続くと予想され、将来の不安を抱えていた。
このような状況下、まだ40代と若いX社長は自身の経営手腕に限界を感じており、早期引退を考えていた。
オンデックとの出会い
X社長は顧問税理士に相談したところ、課題解決方法としてM&Aという手法があることを知り、公的な相談窓口である地域の事業引継ぎ支援センターを訪ねた。そこで経験豊富できめ細やかに対応するオンデックを仲介業者として決定した。手数料が他社に比べてリーズナブルであることも、X社長の決断を後押しした。
買収側の概要
B社はA社と同業であり、オフィスビル・マンションを中心とした総合ビルメンテナンスを行う中堅企業である。B社はA社が外注している機械設備の保守点検を自社で行っていた。
またB社は、主力であるビルメンテナンス事業の売上拡大のため、新規得意先の獲得を目的とした同業のM&Aを積極検討していた。
課題解決・シナジー
M&A実行後、A社の課題となっていた人材不足については、B社からの人員の派遣により解消された。これまでA社が取りこぼしていた案件に対応できるようになり、A社の売上は拡大した。
加えて、A社が外注していた設備点検業務をB社で受注することができるようになったため、A社のコスト削減のみならず、B社の売上を拡大することができた。
結果、A社、B社の継続的な売上・営業利益拡大が見込まれるようになり、A社の将来不安を払拭することができた。
各業界で慢性的な人材不足、採用難や人件費の上昇等、人材にまつわる問題を原因として将来不安を抱える中小企業経営者は多いです。本件はM&Aの活用によって、それらの問題が解決され、将来不安が払拭されたという好事例でした。
譲渡調印式の場で、「信頼できる企業に会社を譲渡することができた。これで安心して引退できる。」と安堵の表情を浮かべるX社長の表情が大変印象的でした。