譲渡側の概要
成長市場で順調な経営
化粧品・雑貨などのネット通販事業を営むA社。代表者夫婦とパート従業員数名で運営する小さな会社だったが、ネット通販分野においての業歴は比較的長く、毎年安定した売上・利益を計上していた。EC市場は拡大マーケットであり、代表者夫婦が共に30代と若い経営者であることを考えると、まだまだ成長余地のある会社であった。
譲渡側の課題
好条件での「イグジット型M&A」を決意
経営は順調で経済的には恵まれていたが、夫婦が共にA社の事業に専心していたため、家族で過ごす時間は多いとは言えなかった。起業から走り続けてきた日々であったが、思案の結果、好条件がつくのであれば会社を譲渡すること(イグジット型M&A)を決断。
オンデックとの出会い
普段から経営相談していたコンサルティング会社を通じて、オンデックの紹介を受け、企業価値評価を実施。代表者夫婦が想定していた以上の企業価値がつくことが判明し、A社売却に向けて本格始動した。
買収側の概要
新規事業への進出をM&Aで実現
複数の候補先が興味を持ったが、最終的に譲渡先となったのは、包装資材メーカーであるB社であった。B社は、食品や日用品等のパッケージ製造を中心とする企業だが、取引先らの商品販売に側面的に協力するため、EC事業の立ち上げを検討しているところだった。
課題解決・シナジー
資金力及びマネジメント能力で急成長
B社はマネジメントには定評のある会社であり、自力で新規事業として立ち上げるより、M&Aで既存のノウハウを有効活用する方が遥かに時間とリスクを低減できると考えられた。B社取引先らが扱う商品と、A社の商材が非常に近く異業種ながら親和性のある事業であることも大きな判断材料となった。譲渡交渉は大きな問題もなく順調に進行。家族経営であったため、業務引継には若干の労を要したが、A社はM&A後は高い成長率を実現している。B社はネット通販業への進出を、M&Aによってスピーディに果たすことができた。
最近は本件のように、優良企業が更なる成長やIPOを目指して好条件で全部又は一部の株式を売却する「イグジット型M&A」も増えてきました。会社にはしかるべきステージがあります。優良企業をなぜ売却するのかという意見もありますが、ゼロから立ち上げる事が得意な経営者が軌道に乗せた事業を、マネジメントが得意な企業が引き継ぎ、次のステージに向かうことは非常に合理的と言えます。結果的に企業が強くなることは働く従業員らにとっても、幸せなことなのではないでしょうか。また、本件は非常に多くの会社から買収オファーがあった事案でした。日本国内の市場は、少子化などを背景に、多くの市場が縮小傾向にあると言われています。しかしネット通販業界などは数少ない成長市場のひとつであり、成長市場に位置する事業は、やはり多くの企業の興味を集める傾向があるようです。