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M&Aガイド

【M&A即効解決FAQ】コロナ禍がM&Aに与える影響は?

M&A即効解決FAQ_コロナ禍のM&A

この【M&A即効解決FAQ】では、中小企業のM&Aに関して過去弊社に寄せられたご相談やよくあるご質問に回答する形で解説していきます。  
これを機に、皆様の会社の成長のツールとして、また場合によっては皆様の会社の事業承継の一つの選択肢として、M&Aをより身近に感じていただけると幸いです。

今回は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)によって引き起こされている「コロナ禍」という特殊な経済環境が中小企業M&Aに与える影響を、譲渡側・買収側それぞれの視点から説明します。
なおコロナ禍を取り巻く状況は日々変化しており、本記事で解説している内容は、原稿執筆時点(2020年5月下旬)での見解であることをご了承ください。

【Q1】M&Aによる事業承継を検討していますが、コロナの影響の大きい状況下でも買収企業は見つかるのでしょうか?

メディアでは、コロナ禍の影響によるM&A成約件数の減少が騒がれています。たしかにホテル・旅行・交通などといった旅行関連事業や、飲食をはじめとする消費者来店型の店舗ビジネス(特に大規模商業施設などに入居する店舗)といった業種においては、コロナ禍による外出自粛の影響をダイレクトに受け、M&A検討のストップなどの影響が少なからず出ております。

一方で、その他の事業については、弊社がお話を受けるなかでは現時点では目立った影響はそこまで出ておらず、あるとしてもM&Aに関する面談・協議の延期といったものであり、M&Aの検討終了や破談といった類のものはほとんどありません。

今後、コロナウィルスによる経済活動の自粛・停滞が長期化するようであれば、輸出入取引に依存している業種をはじめ徐々に影響が広がる可能性は否定できませんが、記事執筆時点ではM&Aに対しての影響は限定的といえる状況です。

買収企業は、少なくとも5~10年といった長期的な視点でM&Aを検討するケースが多く、今回のコロナ禍についてはリーマンショックのような構造的な問題ではなく一過性のものと捉えており、弊社としても買収企業の意欲が衰えているとは見ていません。加えて、買収検討企業の意欲は、市場への資金の供給状況に最も左右される傾向がありますが、市場に供給されている資金は依然潤沢であり、今後は主要国中央銀行による追加金融緩和により、さらなる資金供給も予想されます。

前置きが長くなりましたが、ご質問にあった「コロナの影響の大きい状況下でも買収企業は見つかるか?」への回答としては「現時点でのM&Aに対する影響は限定的ですが、長期化した場合の動向は不明」となります。

M&Aによる譲渡を検討していたとしても、このタイミングで何らかの大きな意思決定をすることは非常に難しい局面です。こういう時こそ、弊社のようなM&Aアドバイザーに相談いただきながら、状況の変化を注視しつつ意思決定の時期を調整するということも選択肢のひとつです。

また、特殊な経済環境ではあるものの、自社の企業価値の相場感を把握しておく意味は常にあると考えています。もし自社の企業価値の目安を把握されたい場合には、弊社でも算定を行っておりますのでぜひご相談ください。

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【Q2】コロナ禍でも積極的にM&Aによる買収を推進していきたいのですが、高値掴みにならないか心配です。リスクを減らす手段はありますか?

M&Aにあたってのリスクをゼロにする手段はありませんが、こうした状況下では「アーンアウト」と呼ばれる手法を取り入れるのもひとつです。

「アーンアウト」とは、M&A実行時の対価の支払いに加えて、その後の一定期間において対象事業があらかじめ設定した一定の目標(売上・営業利益など)をクリアした場合に、追加で買収対価の一部を支払うこととするものです。このアーンアウトを活用することによってリスクを低減することが可能です。

案件ごとに細やかに対応方針を策定しますので、手法の詳細については弊社コンサルタントにご相談ください。

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【Q3】コロナ禍の環境下において、中小企業のM&Aに活用できる国からの施策はありますか?

中小企業のM&Aを対象とした「経営資源引継ぎ補助金」という施策があります。

これは、仲介手数料・デューデリジェンス費用・企業概要書作成費用などといった第三者承継時に負担した士業専門家の活用にかかる費用や、経営資源の一部を引き継ぐ際の譲渡側の廃業費用が補助されるものです。

詳細や最新情報については、経済産業省の経営資源引継ぎ補助金 特設ページにてご確認ください。

今回は、コロナ禍が中小企業M&Aに与える影響と、そんな中でもM&Aの検討を進める企業にとって役に立つ情報を紹介しました。

弊社では、サポートさせていただく企業の事業規模を問いません。いわゆる小規模企業から中堅企業まで(年商数千万~数百億程度)、幅広い層の中小企業様に対して積極的にM&Aの支援を行っています。私どもで何かお役に立てることがありましたら遠慮なくお気軽にお問い合わせください。

文=中井裕介(弊社コンサルタント)

※本記事は「経営情報誌 合理化 2020年夏号」(発行:一般社団法人 大阪府経営合理化協会)への弊社コンサルタント寄稿記事を再編集したものです。記載されている情報は掲載当時のものです