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M&Aガイド

【事業承継の課題とM&A】ガイドラインから相談先まで 事業承継に役立つ公的サイトまとめ

事業承継、M&Aを理解するための公的サイトまとめ

事業承継を一気に理解するためのサイト紹介

中小企業経営者にとって事業承継は、避けて通れない大きなイベントです。それであるがゆえに、人、財務的資産、知的資産からなる会社の重要な資産継承を行うにあたっては慎重かつ十分な検討が必要です。

その時、どこからどのように手を付けていけばいいのかわからない、あるいは概観は理解しているが、判断基準となる信頼できる情報はどこからとるのがよいのかわからないと言った方のために、公的情報のサイトを中心に、事業承継が一気に理解できるサイトや、情報源をまとめてみました。是非ご参照下さい。
 

事業承継の概観を知りたい

事業承継は多様な要素が絡むため、簡単に理解するのは難しいですが、中小企業庁が提示している「事業承継ガイドライン」に基づく、下記チャートを参考にすると理解が容易になります。

事業承継のフローは大きく分けると、現状把握、後継者育成、計画策定の三段階に分けるものと、下記のように5段階(事業承継ガイドライン)に分けるものがあります。親族をはじめとする社内承継か、社外承継に分かれるという現実的な実施プロセスを入れてもっともわかりやすくしたのが、下記の5段階のフローになります。これを念頭に様々な情報収集をされると、体系化しやすくなり理解が早くなります。

事業承継の手順1

次に、事業承継の概観を掴むにあたっては、下記サイトが参考になります。

ミラサポ 事業承継 早わかりガイド

ミラサポとは、公的機関の支援情報・支援施策(補助金・助成金など)の情報提供や、経営の悩みに対する先輩経営者や専門家との情報交換の場を提供する、中小企業・小規模事業者の未来を支援するサイトです。

事業承継 早わかりガイドでは、事業承継に関して、中小企業・小規模事業者が知っておくべき事業承継に関する情報・データがまとめてあります。
https://www.mirasapo.jp/succession/index.html

◆Step1:事業承継対策の必要性

中小企業にとって、事業承継問題は非常に重要な問題です。スムーズな事業承継のために必要な事前の準備がどのようなものかを見ていきます。
https://www.mirasapo.jp/succession/guide/index.html

◆Step2:後継者選びのポイント

後継者候補は、親族に限らず、従業員や第三者など広く検討
後継者に必要な能力は、実務に加え、会社全体を統率する経営能力も
各承継方法のメリット・デメリットなど
https://www.mirasapo.jp/succession/guide/point.html

◆Step3:計画的な事業承継の重要性

計画表の作成、具体的対策の実行など
https://www.mirasapo.jp/succession/guide/prepare.html

さらに、政策の根っこを押さえると、事業承継をめぐって様々な公的団体、民間企業、士業などの関係者がどのような支援機能を保有しているのかが理解できます。

中小企業庁における事業承継、M&Aについての政策

ご存知のように中小企業の事業承継の中核的な所轄官庁は中小企業庁になり、政策のフレームは同庁の審議会等で諮問されたうえ決定されます。その政策にもとづいて、法改正や、支援策が実施されるためその大元の流れを見ておくことは全体像を掴むのに非常に重要です。

平成29年7月7日、中小企業庁は、中小企業経営者の高齢化の進展等を踏まえ、今後5年程度を事業承継支援の集中実施期間とする「事業承継5ヶ年計画」を策定しました。現状、この施策が走っていると理解すれば、世の中の動きに合点がいきます。

ただし、難しい、面倒だと感じた方は次に飛ばしていただければ結構です。

事業承継5か年計画を策定しました
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2017/170707shoukei.htm

中小企業の事業承継に関する集中実施期間について(事業承継5ヶ年計画)
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2017/170707shoukei1.pdf

事業承継のおおまかな手続きを知りたい

近年の事業承継やM&Aに関する、様々な情報や、知識は中小企業庁の「事業承継ガイドライン」がその骨幹となっています。これに基づいて、事業承継や、M&Aにかかる公的団体、民間企業は活動しています。したがって、この流れを理解したうえで、専門家から知識をもらうと理解が速くなります。

事業承継ガイドライン

事業承継ガイドラインは、中小企業庁が発表している、事業承継の手続きを5段階のステップに分けて網羅的に紹介した基幹的な資料です。本ガイドラインは主に、親族内や従業員などの内部への承継を中心に記述されています。

以下は事業承継ガイドラインで中心的に言及されている部分です。

事業承継の手順とは2

(青字の箇所について重点的に言及)

現、事業承継ガイドラインは中小企業庁が平成28年度に公表したものです。平成18年に作成され、今回は10年ぶりの更新になります。

事業承継ガイドラインの概要

本ガイドラインの主な内容は、以下の3点です。

(1)事業承継に向けた早期・計画的な取組の重要性(事業承継診断の導入)
(2)事業承継に向けた5ステップの提示
(3)地域における事業承継を支援する体制の強化

中小企業経営者の皆様や、経営者の身近な存在として活動されている団体や金融機関等の支援機関の皆様に、本ガイドラインを参考にしていただき、価値ある事業をしっかりと次世代へ承継していただくことを期待しています。

◆事業承継ガイドライン
事業承継ガイドライン(PDF形式:4,602KB)PDF(平成29年9月19日更新)
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2016/161205shoukei1.pdf
「事業承継ガイドライン」について(概要)(PDF形式:2,483KB)PDF
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2016/161205shoukei2.pdf

◆以下のような解説本も出版されています(岸田氏は事業承継ガイドライン委員会の委員)
事業図解でわかる 中小企業庁「事業承継ガイドライン」完全解説 単行本 – 2017/3/17
岸田 康雄 (著), 村上 章 (著)承継ガイドラインの紹介本
https://honto.jp/netstore/pd-book_28367449.html

事業引継ぎガイドライン(第三者への譲渡)

親族内や従業員から後継者を見つけることができない場合の廃業を防ぐために、第三者への譲渡による事業承継を検討するためのガイドラインです。

「事業引継ぎガイドライン」は、M&Aの手続きや、手続毎の利用者の役割・留意点、トラブル発生時の対応等を詳細に記載しています。
また、「事業引継ぎハンドブック」は、事業者の皆様方がM&A等を活用する際の手引き書となるよう、ガイドラインを分かりやすくまとめたものです。

事業引継ぎガイドラインでは、下記の部分を重点的に紹介してあります。

(青字の箇所について重点的に言及)

事業承継の手順とは3

事業引継ぎガイドラインの構成内容は以下のようになっています。

第1章 事業承継の計画的取組の必要性
第2章 会社に引き継ぐ場合(M&A)
M&Aの手続きフローを明確化。
譲り渡し側の留意点
第3章 個人に引き継ぐ場合(センターの「後継者人材バンク」)
「後継者人材バンク」の手続きフローを明確化。
・個人債務保証の引継ぎについて検討が必要。
第4章 トラブル対応
事業引継ぎの交渉中のトラブルへの対応。

事業引継ぎガイドライン
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2015/150407hikitugi1.pdf
事業引継ぎハンドブック
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2015/150407hikitugi2.pdf

>>本ガイドライン策定には当社も委員として参画しており、上記活用のご相談や、効果的な進め方についてのお問合せはこちらから。

事業承継の参考資料がほしい

以下は、事業承継ガイドラインに沿って作成された参考資料で、webサイトからダウンロードもしくは閲覧が可能です。カラー刷りかつ、図をふんだんに使いガイドラインのエッセンスをわかりやすく解説しています。

事業承継マニュアル

経営者のための事業承継マニュアル

「事業承継ガイドライン」に沿って、経営者が事業承継を進める上でのポイントとして、事業承継計画の立て方や後継者教育、税負担や経営権の分散リスク、資金調達といった具体的な課題への対策など、事業承継を進める上での基本的な事柄が把握できるように構成しています。(全52ページ)なお、本マニュアルは平成29年3月発行につき、下記、平成30年税制改正パンフレットも参照ください。
事業承継マニュアル
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2017/170410shoukei.pdf

会社を未来につなげる10年先の会社を考えよう

会社を未来につなげる10年先の会社を考えよう

10年先を考えた会社の見える化・磨き上げや事業承継に向けたアクションをまとめた冊子です。会社の持続的な発展のために、「事業承継マニュアル」と併せてご活用ください。
会社を未来につなげる10年先の会社を考えよう
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/2017/170327shoukei.pdf

平成30年度税制改正パンフレット

平成30年度税制改正パンフレット

平成30年度の税制改正においては、事業承継税制が抜本的に拡充された内容を補足しています。
平成30年度税制改正パンフレット
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/2018/180330zeiseikaisei.pdf

中小企業経営者のための事業承継対策(平成30年度版)【中小機構】

中小企業経営者のための事業承継対策

事業承継マニュアルとほぼ同じボリュームで、平成30年度事業承継税制の拡張も取り込んだものです。親族内承継、従業員への承継、第三者への承継に施策を分けて説明。本資料は、電子ブックにつき、webからスピーディに閲覧できます。

1. 事業承継の現状と計画的な事業承継対策の必要性
2. 事業承継対策の種類と進め方
3. 事業承継に関する支援施策、を紹介しています。
中小企業経営者のための事業承継対策(平成30年度版)
電子ブックを見る
http://www.smrj.go.jp/ebook/h30_zigyosyokei/html5.html#page=1

支援機関について知りたい

事業承継の身近なサポート機関には以下のような機関があります

①商工会議所・商工会

商工会議所・商工会は、中小企業施策の受託機関として、事業承継に関する調査、セミナーや、事業引継ぎセンター業務を担うなど事業承継の知見が蓄積しており、身近な相談機関として活用をお薦めします。

②認定経営革新等支援機関

「中小企業等経営強化法」に基づき、専門性の高い中小企業支援を行うために認定された支援機関(士業等専門家、金融機関、商工会・商工会議所、民間企業など)。税務、金融、財務に関する面を中心に、経営の見える化支援や磨き上げ支援等を実施しています。「中小企業等経営強化法」の基本方針の中では、以下のような事業承継に係る記載があります。認定経営革新等支援機関には、経営革新等支援業務の実施に当たり、事業承継に向けた取組促進の役割が期待されています。

・経営革新等支援業務の実施に当たって配慮すべき事項
認定経営革新等支援機関は、経営革新等支援業務の実施に当たって、「事業承
継ガイドライン」を踏まえて、中小企業に対して計画的な事業承継に向けた取
組を促すことにより、中小企業の事業承継を契機とした経営力向上を支援する
こと。
「中小企業等経営強化法」基本方針 一部抜粋

【連絡先】
認定経営革新等支援機関一覧
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kakushin/nintei/kikan.htm

③事業引継ぎ支援センター

後継者不在の中小企業の事業引継ぎを支援するため、平成 23 年度から開始した事業であり、全国の事業引継ぎ支援センターにおいて、事業承継に関する幅広い相談対応やM&Aのマッチング支援を実施しています。

【連絡先】
事業引継ぎ支援センター一覧
http://shoukei.smrj.go.jp/

④よろず支援拠点

中小企業・小規模事業者に対し、一歩踏み込んだ専門的な助言を行うため、平成26年6月から、ワンストップ相談窓口を各都道府県の中小企業支援センター等に設置しています。
よろず支援拠点においては、在籍する事業承継の専門家が相談対応を行うほか、より専門性の高い課題や事業承継計画の策定支援等に関しては、外部専門家の紹介も行っています。

【連絡先】
よろず支援拠点一覧
http://www.smrj.go.jp/yorozu/087939.html

⑤事業承継ひろば(サイト)

前述の事業承継支援機関が連携する協議会の動向等がわかります
https://shoukei.go.jp/

>>上記各機関の活用のご相談や、効果的な進め方についてのお問合せはこちらから。

第三者への譲渡についての支援機関について知りたい

第三者への譲渡を検討する経営者の方の参考になる、情報源や相談先は下記になります。

事業引継ぎポータル

http://shoukei.smrj.go.jp/

事業引継ぎ支援センター(再掲)

後継者不在の中小企業の事業引継ぎを支援するため、平成 23 年度から開始した事業であり、全国の事業引継ぎ支援センターにおいて、事業承継に関する幅広い相談対応やM&Aのマッチング支援を実施している。

【連絡先】
http://shoukei.smrj.go.jp/consultation/

>>事業承継、第三者への譲渡についての効果的な進め方についてのお問合せはこちらから。

まとめ

以上のように、事業承継、M&Aに関する情報を一気にまとめてみました。

実際の後継者選びでは、親族を中心に引き継げることが最も好ましいと言えますが、内部の承継は時間がかかり、一定の経営の業績があれば、より確実性の高い第三者への譲渡をさらに研究し、M&Aによる売却の可能性を探ってみるのも一つの選択肢と思われます。

後継者が見つからず、廃業することが従業員にとっても忍びないと思う経営者の方は多いですし、せっかく苦労して育て上げてきた企業は社会的な価値も高く、みすみす廃業してしまうのは、経営者ご自身の努力を無駄にしてしまうという側面もあります。そういった意味では、会社の成長を第三者に託すと言った方法も並行して検討する価値があります。

国や国民としても、事業承継されずに廃業してしまうことは大きな損失であり、それを回避するために、あらゆる手で存続のチャンスを拡大しようとしているのが、昨今の中小企業政策でもあります。

後継者問題を背景 とした中小企業の第三者への譲渡、M&Aは、今後益々拡がりを見せていくことが予想されます。また、M&Aは事業承継問題解決の手段としてだけではなく、成長戦略の一環としても考えられています。M&Aの本質は企業の発展をもたらすものです。事業承継を円滑に進めていくためにも、専門家のアドバイスを受けながら、計画的に進めてみてはいかがでしょうか。

>>事業承継、第三者への譲渡についての個別ケースについてのご相談や、効果的な進め方についてのお問合せはこちらから。