オンデック・プレス ONDECK PRESS
ニュース・トピックス

【15分でわかる法律・白書・ガイドライン講座】中小企業M&Aを促進!事業承継税制を含む「経営承継円滑化法」の概要を動画で解説

※このコンテンツは、Youtube・ONDECKチャンネルにて配信中の動画シリーズ「経営者なら知っておきたい 15分でわかる法律・白書・ガイドライン講座」を書き起こしたものです。 動画はこちら からお楽しみください

この動画では、M&A仲介・支援を行っているオンデックが経営者の皆様にとって役立つ情報をお届けするために、中小企業白書や、中小M&Aガイドラインなど、膨大な情報が記載された公的な資料などから、経営にとって重要なポイントをピックアップし、15分でわかりやすく解説します。

今回は、「経営承継円滑化法」について取り上げます。

経営者の高齢化が進む中小企業の事業承継は、社会的な課題として認識されています。経営承継円滑化法は、中小企業のスムーズな事業承継を実現すべく、複数の支援策を規定しています。譲渡や買収に伴う経済的負担を懸念されている中小企業経営者や後継者の方にとって、今回の解説が事業承継についての前向きな検討の材料のひとつになると考えます。

本動画では、「経営承継円滑化法」について、こちらのテーマに沿って説明します。
 

経営承継円滑化法の概要

第1に、経営承継円滑化法の概要です。

経営承継円滑化法は、2008年に施行、2021年8月までに数回改正された法律で、正式には「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」です。同法は、事業承継を円滑化し、地域経済と雇用を支える中小企業の事業活動の継続を図るための総合的な支援策を講ずるためのものです。事業承継の場面でよく耳にする「事業承継税制」も同法の支援策のひとつです。

後継者不足が深刻化し、中小企業の事業承継問題は国家的な課題となっています。現存している中小企業の消滅は、技術やノウハウの喪失に留まらず、地域経済や雇用へもマイナスの影響を与えます。

このような事業承継問題を解決すべく、経営承継円滑化法では、2021年12月現在、主にこちらの4つの支援策が規定されています。以下、本動画では、こちらの4つの支援策の概要について説明します。

事業承継税制

まず、事業承継税制について説明します。事業承継税制は、中小企業や個人事業主の事業承継に伴う税負担を軽減する措置です。事業承継税制は、大きく2つに分けられます。

1つは、中小企業の非上場株式の承継を対象とする法人版事業承継税制、もう1つは、個人事業主の事業資産の承継を対象とする個人版事業承継税制です。ここでは法人向けの事業承継税制について説明します。

法人版事業承継税制は、中小企業の非上場株式の承継に関わる贈与税・相続税を猶予・免除するものです。2018年に導入された特例措置により、従前の一般措置に比べ、対象範囲や効果が拡充されています。

特例措置の特徴

ここでは、特例措置の特徴について、特にこちらの3点を説明します。

第1に、対象株式です。従来の一般措置の場合、最大でも総株式数の3分の2までが対象であり、残り3分の1は対象外でした。一方、特例措置では、全株式が対象となっています。

第2に、納税猶予割合です。従来の一般措置の場合、相続は100%でしたが、贈与は80%まででした。一方、特例措置では、相続・贈与共に100%となっています。

第3に、対象の承継パターンです。従来の一般措置の場合、1名の後継者への承継のみが対象でした。一方、特例措置では、最大3名の後継者への承継が対象となっています。

このように、特例措置では適用対象が拡大され、従来よりも利便性が高くなっているといえます。

贈与税・相続税の猶予・免除プロセス

特例措置を前提とした場合、贈与税・相続税の猶予・免除のプロセスの概要は、こちらです。

株式についての贈与・相続の発生時、本来であれば贈与税・相続税が発生します。これらの贈与税・相続税は、事業承継税制の特例措置により納税が猶予されます。そこから原則5年間の報告期間中、株式を承継した後継者は、代表者として会社を経営する必要があります。

納税が猶予されていた贈与税・相続税は、一定の要件を充足することで免除されます。例えば、5年間の報告期間中に後継者が死亡した場合、贈与税・相続税は免除されます。また、5年間の報告期間経過後、次の後継者に株式が贈与された場合も、贈与税・相続税が免除されます。一方、5年間の報告期間中に、後継者が代表者で無くなった場合や株式の過半数を有しなくなった場合、あるいは5年間の報告期間経過後であっても会社を解散した場合などは、猶予されていた贈与税・相続税を納税する必要があります。

このように、事業承継税制は、贈与税・相続税の猶予・免除について規定しています。

事業承継税制の手続の流れ

なお、事業承継税制の手続の流れの概要は、こちらです。

まず、特例承継計画を策定します。特例承継計画は、商工会議所などの認定経営革新等支援機関による所見の記載を受けます。なお、事業承継税制の特例措置は2018年から2027年までの10年間の期間限定措置であり、その適用を受けるための特例承継計画の提出は2023年3月末までです。このため、事業承継税制の特例措置をご検討の場合、早急に対応する必要があります。次に、都道府県知事による特例承継計画の確認を受けます。相続・贈与については、特例措置の有効期間である2027年12月末までに承継を済ませる必要があります。贈与年の10⽉15⽇〜翌年1⽉15⽇までに、都道府県庁に認定申請を行います。その後、税務署に贈与税・相続税の申告を行い、納税猶予を受けます。5年間の報告期間中、年1回、都道府県庁・税務署に報告を行います。5年経過後は、3年に1回、税務署への継続届出書を提出します。

以上が、事業承継税制の概要です。

遺留分に関する民法の特例

続いて、遺留分に関する民法の特例です。これは、後継者による事業承継を円滑にするべく、中小企業の非上場株式の相続における遺留分について一定の特例を設けたものです。相続において株式が散逸して経営に問題が生じないようにするためのもので、先代経営者の推定相続人全員と後継者が合意することで、こちらの2つの特例を受けられます。

第1に、除外合意です。後継者が承継する株式について、遺留分を算定するための財産の価額から控除するものです。株式以外の相続財産が3,000万円の場合、この3,000万円が遺留分算定のベースとなります。

第2に、固定合意です。後継者が承継する株式について、遺留分を算定するための財産の価額に考慮しますが、その金額を贈与時の時価で固定するものです。このため、贈与後の後継者の努力による株式価値の増加分は、遺留分の対象とはなりません。

いずれの特例も、遺留分に関してのトラブルを未然に防ぐことができます。以上が、遺留分に関する民法の特例です。

金融支援

次に、金融支援です。経営承継円滑化法における金融支援は、融資・信用保証から構成されています。また、それらはこちらの3つに分類されます。

第1に、経営を承継した後に必要となる資金です。経営の承継後、後継者が株式を買い取るための資金などがあたります。

第2に、これから他の中小企業者の経営を承継するにあたり必要となる資金です。これから、M&Aにより他社の株式を買い取るための資金などがあたります。

第3に、現経営者の保証が付されている借入れを借り換えるための資金です。先代経営者の個人保証付の借入に関し、後継者が個人保証なしの借入により、借り換えるものです。

以上のような支援を通じて、金融面での不安を解消し、円滑な事業承継の実現を図っています。

所在不明株主に関する会社法上の特例

続いて、所在不明株主に関する会社法上の特例です。所在不明株主の株式取得のために要する手続時間を短縮するものです。会社法上、原則的には、所在不明株主の株式取得には、株主への通知等が届かず、かつ配当金も受領しない期間が5年以上必要です。この点、経営承継円滑化法の特例により、5年かかる手続時間を1年に短縮することができます。

この特例を受けるためには、こちらの要件を満たす必要があります。

第1に、経営困難要件です。経営者が年齢や健康状態などの事情により、継続的かつ安定的に経営を行うことが困難であり、会社の事業活動の継続に支障が生じている場合です。

第2に、円滑承継困難要件です。所在不明株主の存在により、経営を後継者に円滑に承継させることが困難である場合です。具体的には、想定される後継者への承継手法に応じて、3分の1超など、一定の割合の株式を有する所在不明株主が存在する場合です。

当該特例を受けるためには、これらのいずれの要件も満たす必要があります。

今回取り上げたテーマのまとめ

最後に、今回取り上げたテーマについてのおさらいとまとめです。

今回は、経営承継円滑化法をテーマとして取り上げました。経営承継円滑化法は、円滑な事業承継を目的としており、主にこちらの4つの支援策が規定されています。

第1に、事業承継税制です。法人版事業承継税制では、贈与税・相続税の納税猶予・免除が規定されています。特に、2018年から2027年の10年間の特例措置では、対象範囲や効果が拡大されています。

次に、遺留分に関する民法の特例です。後継者への株式集約を図るべく、遺留分に一定の特例が設けられる旨、説明しました。これにより、後継者への円滑な株式の承継が図られています。

続いて、金融支援です。後継者による円滑な事業承継を実現すべく、融資・信用保証の面から支援が図られています。具体的には、こちらの3つの類型の金融支援がある旨、説明しました。

最後に、所在不明株主に関する会社法上の特例です。通常5年かかる所在不明株主への対応手続について、1年に短縮できるものです。ただし、その実施にはこちらの2つの要件を満たす必要がある旨、説明しました。新型コロナウイルス感染症の感染拡大による業績悪化も当該要件に該当するケースがあります。

このように、経営承継円滑化法では、中小企業のスムーズな事業承継を実現すべく、複数の支援策を規定しています。ぜひ、明日からの経営にお役立てください!

文=オンデック情報局