成約事例

譲渡側企業ご子息が継続勤務した製造業のM&A

譲渡企業
買収企業
業界
製造業
製造業
業種
螺子製造業
金属加工事業
M&Aの目的
経営基盤の強化、後継者問題の解決
新規事業進出
※ 顧客の匿名性を担保するために、一部の事実情報を編集しています

譲渡側の概要

A社は創業約100年の螺子製造企業であり、取引先からは長年にわたる取引実績に基づく確かな信頼を得ていた。また、近年においては、積極的な設備投資を行い、好立地かつ最新鋭の設備を完備した工場を新築していた。

 

その一方で、高付加価値とは言い難いA社の製品は、海外製品との価格競争に巻き込まれ、A社の収益性は悪化した。その結果、当初予定したよりも投資の回収が遅れている状況にあった。

譲渡側の課題

以前より、A社のX社長は親族内承継を検討しており、社内で営業を担当していた長男に打診したが、A社での経験が浅く、また業界の先行きにも不安があったため、当該時点での承継には抵抗を示した。

 

そこで、長男の意向も踏まえ、X社長は、A社の成長のため、事業シナジーの見込まれる第三者への承継を決定した。X社長としては、将来にわたって長男がA社の運営に携わる選択肢を残すことを希望しており、長男の十分な理解・信頼を得られる会社を見つける必要があった。

オンデックとの出会い

X社長は周囲に相談できる人がいなかったが、経営者仲間からの紹介で事業引き継ぎ支援センターの存在を知った。

 

同センターに相談してみたところ、オンデックを紹介された。オンデックは実績・知識も豊富であり、担当者と話す中でM&Aに対する漠然とした不安も次第に解消され、この業者ならと安心して依頼することとなった。

買収側の概要

長年にわたるA社の堅実経営が評価され、A社の同業企業と異業種企業の2社が速やかに本格検討に進んだ。

 

同業企業は、自社工場の生産能力不足によって新工場建設を考え始めたタイミングでA社買収に名乗りをあげた。オファー額は、X社長も満足のいく水準であったが、買収実行後はA社工場で同業企業製品の製造を優先的に行うことを求められた。そのため、会社の独立性が保てないとともに、既存取引先との関係に不安を感じた長男から理解を得られなかった。

 

もう1社は、製造業に対して幅広い投資実績のある異業種企業B社である。オファー額はA社の近時の収益性を反映したものとなっており、同業企業よりも低い提示額であった。他方、B社のような前提条件はなく、取引先とも安心して取引継続をできるよう細かな点も快諾された。

 

熟考を重ねた結果、X社長は、B社であれば買収後の長男の営業面での活躍が見込まれることを重視し、金額条件が同業企業より低かったもののB社のオファーを受け入れる決断をした。

課題解決・シナジー

A社は既存取引先との信頼関係を維持しつつ、B社グループ内への取引を拡大することができた。その結果、収益力が大幅に向上した。

 

さらに、A社はB社から派遣された新たな社長と共にB社の持つ「人を大切にする」理念を社内へ共有することにより、人材確保や育成にも注力され、経営基盤の強化に繋がった。

 

一方B社は、A社の既存事業の顧客及び取引先網を活用し、事業領域の拡大と取引先拡充に成功し、収益力強化に繋がった。

COMMENT
オンデックからのコメント

本件においては、M&Aは行うものの、X社長のご子息が引き続き会社に、経営に関与する形で残られるという点が特殊であったと思います。

 

当然ながら、X社長とそのご家族の候補先企業に対する要望は、きわめて繊細なものでした。この点、X社長の想いを正確にB社にお伝えするために、出来る限り書面に落として調整を行うように努めました。

 

その後、独占交渉以降におきましてもX社長の主張は当初から一貫していた上に、譲渡金額などの他の事項については非常に柔軟にご対応頂けましたので、結果としてスピード決着を実現することができました。本案件に関与させてい頂いた担当として、将来にわたるご子息の活躍を祈念しております。