
ここ数年、毎日のように新聞の紙面で『M&A』(あるいはそれに類する言葉、買収、提携等)という言葉が出ています。新聞で取り上げられるM&Aの ほとんどが大企業のものですが、中堅・中小企業のM&Aも年々増加しており、中小企業のM&Aは年間2000件ともその数倍とも言われています。
それでは、なぜ今、中小企業のM&Aが増加しているのでしょうか。
その背景は以下の2点が大きな要因となっています。
① 経営者の高齢化
高度成長期に創業した経営者が高齢化し、世代交代を迎えている企業が多くなってきています。
このとき、まず検討されるのが、子や親戚あるいは従業員を後継者とすることだと思います。実際に最も多い事業承継の方法です。しかしながら、子・親戚の場
合であれば、継いでくれない、任せることに不安がある、将来に不安があり継がせたくない、など様々な理由で承継が難しい場合があります。一方、従業員の場
合は、株式買取資金がない、借入等の個人保証に抵抗感がある、全てを任せる経営者としては不安がある、などの理由で難しい場合があります。
また、後継者がいない場合であれば、廃業や清算を検討される方がほとんどです。しかし、この方法を選択した場合、従業員の雇用や取引先との取引関係など、第三者に様々な影響を与えます。
このような理由で、後継者問題を解決するためのM&Aを検討される経営者の方が増えています。
第三者に経営を委ね、従業員・取引先との関係を継続し、企業の発展を目指していく。企業の将来のための一つの選択肢として、M&Aを検討される方が増えています。
② 経済・産業構造の変化
・産業構造の成熟化に伴う、市場の飽和・縮小
・規制緩和による競合の増加
・情報化に伴う、環境変化のスピードの加速
これらの要因が重なって、市場における企業間の競争が激化しています。
そのような環境の中で、限られた資源を効率的に使って経済活動を行う必要のある中小企業において、競合他社との競争を勝ち抜くために、中核ビジネスに集中
する(選択と集中)ためのM&Aや、資本・資源を豊富に持つ企業の傘下に入り、企業の発展を促すM&Aは、生き残り戦略の一つとして取られるようになって
います。
また、一方で、資本・資源を持つ企業は、既存事業の拡大や関連事業への進出など、効率的な事業拡大を目指すためにM&Aを行います。特に、新規事業への進
出や事業の多角化を目指す場合、人材・営業基盤・ノウハウなど全てを短期間で獲得できるM&Aという手法は、非常に魅力的な方法の一つです。
このように、M&Aが増加する背景には、日本が抱える大きな問題があります。
これらの問題に直面している中小企業は、M&Aを解決策の一つとして、今後もより戦略的に行う必要があります。